
【香港=伊原健作】香港政府は12日、2025年末の人口が速報値で751万800人となり、1年前に比べ約1万200人増えたと発表した。少子化が進み人口減少圧力が強まるが、中国本土からの移民の流入が補う構図が鮮明となっている。
1年間の死亡数は5万人、出生数は3万1100人で、死亡数が出生数を上回ることで生じる自然減は1万8900人だった。域外からの人の移動に伴う増加分が2万9100人となり、人口全体では1万人強の増加を確保した。
中国本土から香港への特別移民許可により、2万5000人が流入した。1日150人を上限として本土側からの移民を受け入れる制度で、人の移動による増加分の86%を占めた。
香港の人口統計は1カ月以上3カ月未満の滞在者を「流動居民」として算入し、動向が揺れ動きやすい面もある。24年末の人口は速報値では753万人だったが、確報値は750万人に修正した。

政府報道官は12日、「人材や労働力の誘致策が効果を発揮し、世界から人々を呼び込むことで自然減を補った」と強調した。
香港では20年に香港国家安全維持法(国安法)が施行され、社会統制を嫌って欧米など海外に移住する人が増えた。中国本土式の厳しい新型コロナウイルス対策も流出に拍車をかけ、20〜21年にかけて人口流出が問題になった。足元で流出の動きは落ち着いている。
ただ、少子化による人口減少圧力は強まっている。65歳以上の人口比は22年末に21%を超え、世界保健機関(WHO)が定義する「超高齢社会」(65歳以上人口が21%超)に入った。25年末は24%と上昇した。同年の合計特殊出生率は約0.8と低水準だ。
それでも香港政府は46年6月末の総人口が819万人と、25年末から1割近く増えると見込む。中国本土を中心に域外からの移民の流入が貢献する見込みだ。
本土からの特別移民許可を活用するほか、22年末からは高度人材を呼び込むビザ制度「トップタレントパス」の運用も始めた。年収250万香港ドル(約4900万円)以上か、世界トップ100大学などを卒業した人が対象で、本土の有力校などに対象校を拡大している。
同制度は世界から高度人材を呼び込む趣旨だが、実態は中国本土人材がほとんどを占める。香港の入境事務所によると、24年はこの制度に基づき4万1057人のビザの申請を承認した。そのうち95%にあたる3万9010人が中国本土人材だった。
中国本土では景気の失速や就職難を背景に、香港での就職を目指す人が増えている。こうした移住者は「新香港人」と呼ばれ、香港と本土の一体化を後押ししている。
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