会談で握手を交わす高市首相(左)とトランプ米大統領(19日、ワシントンのホワイトハウス)=共同

【ワシントン=三木理恵子】日米首脳による19日のホワイトハウスでの会談は、中東情勢を巡り米国が日本に「貢献」を求める展開になった。日本は協力姿勢を示しつつ、具体策に言及しないことで同盟関係の溝が顕在化する事態を回避した。安全保障分野で背負った宿題は経済分野にも波及する。

日米首脳は会談の冒頭、お互いにたたえ合った。トランプ氏は衆院選での自民党の圧勝に祝意を示し「素晴らしいリーダーだ」と持ち上げた。首相は「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。私が諸外国に働きかけて応援したい」と返した。

和やかなムードで始まった一方、およそ1時間半にわたる会談でトランプ氏はイラン情勢への対応を首相に迫った。

日本側によると、首相がホルムズ海峡での航行の安全とエネルギーの安定供給の実現を訴えた際、トランプ氏は日本を含む同盟国の貢献を求めたという。米国は民間船舶を護衛するための艦船派遣を要求してきた経緯がある。

首相は「日本の法律の範囲内でできることと、できないことがある」と説明した上で「できることをしていく」と伝えた。訪米にあたり、トランプ氏の要求をどうかわすか考え抜いた切り返し方だ。会談後、米側から不満の表明は20日正午時点で出ていない。

日本側によると、トランプ氏がかねて求めていた防衛費の増額に関しても数値目標を要求されることはなかったという。首相は日本が主体的に防衛力強化を進めており、予算の確保を進めていくと説明した。

首相はトランプ氏の要求に応える姿勢を示しつつ、双方の立場の違いが鮮明になる具体策の議論は表に出さなかった。曖昧な回答は米国との同盟関係に亀裂が生じて中国への抑止力に影響がでることを避けるためだった。

トランプ氏は日本の対応について「自ら責任を果たそうとしている。北大西洋条約機構(NATO)とは違う」と発言した。防衛負担に慎重な欧州への批判と対比する形で日本を評価した。

日本政府内には「うまく乗り切った」と安堵の声があるものの、具体策をいつまで先送りできるかは分からない。中東情勢次第でトランプ氏が日本への不満を強める可能性がある。

トランプ氏は会談で日本がホルムズ海峡を原油輸送の9割で使っているとも指摘し、日本の貢献を促した。軍備拡張を進める中国と地理的に近い日本は米国と緊密な関係を維持する必要もある。

安保分野で受ける圧力は経済分野の交渉にも波及する。今回の首脳会談に合わせて日米両政府は米国内で次世代原発の小型モジュール炉(SMR)や天然ガス発電施設を建設すると合意した。対米投資の第2弾として総額11兆円を超える。

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