女優で司会者のコリーン・フェルナンデス氏(44)が、元夫の俳優クリスチャン・ウルメン氏(50)から10年以上にわたり「デジタル性暴力」を受けたと告発し、ドイツで大きな波紋を広げている。

報道によれば、ウルメン氏は結婚生活を送っていた10年以上の間、彼女になりすました偽プロフィールを作成し、性的なやり取りを重ねたほか、ポルノ的ディープフェイクを含む性的コンテンツを流通させたとされている。

ウルメン氏とフェルナンデス氏は2011年に結婚
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フェルナンデス氏はこれを「バーチャルレイプ」と呼んだ。対するウルメン氏側は否定し、法的措置を示唆している。

殺害予告も…登壇し涙の訴え

3月26日、フェルナンデス氏がハンブルク市庁舎前で開催されたデジタル性暴力への抗議集会にサプライズで姿を現した。

抗議集会に登場したフェルナンデス氏 2026年3月

彼女は事前に殺害予告を受けたため、安全上の理由から参加を見送る意向を示していたが、最終的には防弾ベストを着け、警察と警備員に守られながらステージに登壇した。

約3分半の演説で、数千人の聴衆を前に、彼女は何度も声を詰まらせながら、こう訴えた。

「私は今、防弾ベストを着て、警察の保護と警備の中でここに立っている。こうして脅されるのだから、多くの女性が被害を訴える勇気を持てないのも無理はない」「沈黙の壁を一緒に壊そう」

被害を語った女性が再び脅迫によって沈黙させられかねない――その現実を、彼女は自らの身体をもって示したのである。

別の集会では夫のウルメン氏を抗議するプラカードも 2026年3月

この事件は、芸能スキャンダルではない。

最も近しい存在からの侵害が、デジタル技術によって拡散され、人格そのものを切り刻む暴力になりうるという現実だった。現地では、家庭内の支配や所有、人格を傷つける屈辱の強要がオンライン空間で増幅された事件として受け止められている。

俳優・司会者としても活躍するフェルナンデス氏

ドイツ連邦刑事庁によれば、過去5年間にデジタル暴力を経験した人は女性で20.0%、男性で13.9%にのぼり、16〜17歳では女性の6割超、男性でも約3分の1が経験したという。

それでも警察に届け出たのは、女性2.4%、男性0.9%にすぎない。

今回の告発は、単なる一人の著名人の特殊な事件ではなく、氷山の一角であった被害がようやく可視化され始めたことを意味する。

夫の捜査を再開 動き出すドイツ社会

ドイツ社会はこの事態を重く受け止めていて、法改正議論も急速に進んでいる。

フービヒ司法相は、ポルノ的ディープフェイクの作成・拡散を処罰対象とする法整備を進める考えを表明した。さらに検察庁は3月27日、一度は打ち切っていた捜査を再開したと発表した。

フェルナンデス氏は音楽番組からドラマまで幅広く活躍している

調査報道誌『シュピーゲル』が報じた内容を検討した結果、フェルナンデス氏が名指しした元夫に対してつきまとい行為を疑う十分な材料が得られたためとしている。

見えにくく、証明しにくく、長く放置されてきたデジタル性暴力。ドイツ社会は今、これを現実の暴力として捉え直し、法や司法が対応する方向へと舵を切りつつある。

【執筆:FNNロンドン支局長 髙島泰明】

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