ペプシコの主要コーラ飲料「ペプシコーラ」=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文、西邨紘子】米国の有力アクティビスト投資家(物言う株主)であるエリオット・インベストメント・マネジメントは2日、米食品大手ペプシコの株式を40億ドル(約6000億円)相当取得したと発表した。同社の取締役会に北米事業のてこ入れなど経営改善を求める書簡を送った。

経営改革に向けたプレゼンテーション資料では、飲料品・スナック食品のラインアップを見直し、売れ行きの低迷する非中核ブランドを廃止し、的を絞った投資を明確にするよう求めた。

ペプシコの主要コーラ飲料「ペプシコーラ」は主力の北米市場でブランド力の低迷が鮮明だ。米飲料業界調査のビバレッジ・ダイジェストによる2024年のブランド別ランキング(販売量ベース)でペプシコーラは4位。長年のライバル、コカ・コーラがトップを維持する中、23年には2位から転落し、ドクター・ペッパー(2位)、スプライト(3位)に抜かれた。

ペプシコは近年、成長分野と位置づけてきたスナック食品でもインフレ下で進めた値上げや容量縮小が消費者離れを招き、販売が伸び悩む。25年4〜6月期決算では純利益は前年同期比6割減の12億6300万ドルにとどまった。販売数量は北米の食品が1%減、北米の飲料が2%減となった。

エリオットはペプシコが自前で運営しているボトリング(飲料の充塡事業)施設を地域のボトラーに委ねることも提案した。一連の経営改革によりペプシコの株価は「50%以上の上昇余地がある」と書簡に記した。

ペプシコは2日、エリオットからの提案を受け取ったことを発表し「同社の見解を検討する」と説明した。ペプシコの株価は2日、一時前週末比6%高の157.80ドルまで上昇した。その後は伸び悩み、結局1%高で引けた。

エリオットは運用資産総額760億ドルを持つアクティビスト投資家で、米国内外の大型株への投資やキャンペーンを展開している。昨年は米コーヒーチェーン大手スターバックスに投資し、経営トップ交代の一因となった。日本株では住友不動産などに投資している。

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