トランプ大統領 “ロシアから原油輸入 中国に経済的圧力を”
仏大統領 “26か国がロシアとの停戦後の関与を約束”
ゼレンスキー大統領側近 “前線の凍結は可能性あるシナリオ”
ウクライナ情勢をめぐっては4日、ウクライナの安全の保証などを議論する有志連合の首脳会合が開かれ、これに続いてアメリカのトランプ大統領も加わる形で電話会談が行われました。ホワイトハウスの当局者によりますと、この場でトランプ大統領はヨーロッパに対し、ロシアの戦争の資金源となっている原油の購入をやめなければならないと主張しました。そして、ロシアから原油などを輸入する中国に言及し、中国がロシアの戦争のための資金を提供しているとして、ヨーロッパの首脳らに経済的な圧力をかけるよう求めたということです。トランプ大統領は8月、プーチン大統領と会談し、ウクライナとロシアの首脳会談の実現に意欲を示しましたが、進展が見られないことにいらだちをあらわにし、3日には「ロシアのプーチン大統領に言うことはない。今後の彼の決断が不愉快なものであれば、何かが起きるだろう」と述べています。トランプ大統領としては、ロシアとの関係を深める中国に言及することで、ロシアをけん制するねらいもあるとみられます。
有志連合の首脳会合は4日、パリでオンラインも交えて開かれ、フランス、イギリスなどヨーロッパ各国の首脳のほか、ウクライナのゼレンスキー大統領、アメリカのウィトコフ特使など、30か国以上が参加しました。会合ではウクライナが求めるロシアとの停戦実現後の安全の保証が議論され、マクロン大統領は、「26か国がウクライナに部隊を派遣したり、地上や海、空に展開したりして安全の確保に関与することを約束した」と述べました。ただ、派遣先は前線ではなく、現在検討中だとするとともに、どの国が関与するかなど詳細は明らかにしませんでした。また、安全の保証へのアメリカの関わり方については、「数日中に最終決定される」と述べるにとどめました。また、マクロン大統領は首脳会合のあと、アメリカのトランプ大統領との電話会談も行われたとした上で、ロシアやロシアの経済を支援する中国などへのさらなる制裁を検討することで一致したとしています。これについてゼレンスキー大統領は、「経済的な圧力でロシアに戦争をやめさせ、軍事力のための資金や資源を奪う必要がある」などと強調しました。一方、ロシアは、ウクライナへの安全の保証についてロシアの立場を尊重するよう求めており、ヨーロッパ側との隔たりはさらに広がりそうです。
ウクライナのゼレンスキー大統領の側近の1人で大統領府顧問のポドリャク氏は4日、首都キーウでNHKのインタビューに応じました。このなかでポドリャク氏は、「ゼレンスキー大統領は現実的でなければならないと強調している。今すぐに軍事力によってすべての領土を解放するのは不可能だと理解している」と述べました。そして、「前線の凍結は可能性のあるシナリオの1つだ」と述べ、停戦の実現に向けては現実的に対応する用意があると明らかにしました。その上で、「ゼレンスキー大統領はいかなる領土もロシア領として認めないと強調している。これは国際法で禁じられていることだ」として、領土の割譲には応じないという姿勢を改めて強調しました。また、ロシアとの停戦実現後のウクライナへの安全の保証については、部隊の派遣に加え、「ロシアが再び侵略を開始しようとした場合、制裁を即時に適用するための法的に定められたメカニズムをつくるべきだ」と述べ、ロシアへの抑止力を強めるさらなる措置が必要だという考えを示しました。
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