
【ソウル=尾方亮太】中谷元防衛相は8日、韓国国防省で安圭伯(アン・ギュベク)国防相と会談した。人工知能(AI)や無人機、宇宙など防衛に関わる先端技術分野で協力の可能性を探る方針で一致した。ロシアと北朝鮮が接近する現状を踏まえ、日韓の防衛協力を本格化させる。
中谷氏は会談で、訪韓が実現したことについて「極めて光栄だ」と述べた。安氏は「日韓の防衛協力関係がより生産的になることを望んでいる」と語った。
会談後に共同声明を発表した。北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するため、日米韓協力を継続することに合意した。ロシアと北朝鮮による軍事協力の深化を共通課題と位置づけた。「朝鮮半島の完全な非核化に対する確固たる意思」を確認した。
防衛当局間の意思疎通を強化し、防衛相の相互訪問や事務レベル、部隊間の人的交流を「さらに活性化する」と確かめた。

AIや無人機、宇宙などの先端分野は各国軍が活用を広げている。日韓はそれぞれの知見を共有し、双方の部隊の現代化をめざす。中谷氏は会談後、記者団に「地域の平和と安定に向け前向きなメッセージを発信できた」と述べた。
日本の防衛相が韓国を訪れるのは中谷氏が2015年に訪韓して以来10年ぶり。韓国の国防相が24年に15年ぶりに来日したのに続く相互訪問となった。
日韓関係が悪化していた18年、韓国軍が自衛隊機にレーダーを照射したと日本側が訴え、防衛協力が停滞した。両国の防衛当局が24年に再発防止策をとりまとめ、自衛隊と韓国軍の交流も戻りつつある。

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