【ワシントン=共同】米最高裁は8日、トランプ政権が西部ロサンゼルスなどで人種や言語、職業に基づいて移民を取り締まることを当面容認する判断を示した。違法の可能性が高いとして差し止めを命じる仮処分を出した下級審の判断を覆し「不当な制限」だとする政権側の訴えを認めた。
強硬な不法移民摘発を進めるトランプ政権にとって「勝利」となった。
最高裁の判断は最終的に訴訟の結論が出るまでロサンゼルスとその周辺にのみ適用される。ただ中南米系移民に対する無差別な取り締まりが全米に広がるとの懸念がある。判事9人のうち、保守派6人が賛成し、リベラル派3人が反対した。
保守派のカバノー判事はロサンゼルスなどには「膨大な数」の不法移民がいると指摘。英語をほぼ話せないことや日雇い労働を求め特定の場所に集まる傾向などは不法滞在かどうかを確認する上で合理的な疑いを構成する要素になり得るとした。
リベラル派のソトマイヨール判事は「外見やなまりなどを理由に多くの人々が拘束され、手錠をかけられてきた。最高裁は無数の市民に同じ屈辱を不必要に与えることになった」と批判した。
ロサンゼルスでは6月上旬の移民・税関捜査局(ICE)による移民取り締まりを契機に抗議活動が広がり、トランプ政権が州兵を派遣。一部のデモ参加者が暴徒化する事態となった。
カリフォルニア州の連邦地裁は7月、ICEの取り締まりについて合理的な疑いがなく移民を拘束する違法な摘発だった可能性が高いと判断。連邦高裁も支持していた。
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