
【ソウル=尾方亮太】韓国を訪問中の中谷元防衛相は9日、ソウル市内でフィリピンのテオドロ国防相と会談した。海上自衛隊の中古護衛艦のフィリピンへの輸出が話題にのぼった。中谷氏は終了後、記者団に「2国間、多国間いずれの枠組みでも防衛協力・交流を強化していく」と語った。
中谷氏は護衛艦を巡るやりとりの詳細について「お答えすることは難しい」と明言を避けた。「あぶくま」型の中古護衛艦をフィリピンに輸出する話は過去の日比防衛相会談でも言及があった。
会談で海洋進出を強める中国を念頭に、日比で防衛装備・技術協力を推進すると確かめた。日比防衛相会談は2025年に入り3回目。中谷氏は「日本とフィリピンの防衛面での関係が戦略的パートナーとして大きく成長していることを表している」と評価した。
日比両国の間では部隊の相互訪問を簡単にする「円滑化協定(RAA)」が11日に発効する予定だ。共同訓練での武器の取り扱いなどのルールをあらかじめ定める。中谷氏は「部隊間の訓練などを通じ2国間の安全保障・防衛協力を一層強化していく」と強調した。
安全保障に関する機密情報を共有する情報保護協定を早期に結ぶため日比で緊密に連携するとも確認した。石破茂首相とフィリピンのマルコス大統領は4月の首脳会談で同協定の締結に向け議論を進めると合意していた。
中谷、テオドロ両氏は今後、日米豪比韓5カ国による防衛相会談を実施する方向性も擦り合わせた。日米豪比韓は24年11月、ラオスで5カ国による初の防衛相会談を開いた。

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