ネパールでは、政府がサイバー犯罪対策などを理由にフェイスブックなどのSNSを使えなくする措置をとったことをきっかけに、8日に各地で若者を中心とした抗議デモが行われ、主要メディアによりますと一部が警察と衝突するなどして19人が死亡したほか、300人以上がけがをしました。
政府は措置を撤回して事態の収拾を図りましたが、9日も多くの人が外出禁止令に反して街に出て汚職の撲滅や首相の退陣を求めて抗議活動を行い、オリ首相は辞任しました。
しかしその後も抗議の声は収まらず、現地の映像では大勢の人がオリ首相の自宅に石や物を投げつけ、火を放っている様子や連邦議会の建物に放火し、黒煙が上がる様子が確認できます。
主要メディアは、一部の人が元首相と外相の夫妻が暮らす自宅に押し入って暴力を振るったと報じているほか、閣僚数人が軍のヘリコプターで避難したと伝えています。
また、首都カトマンズにある国際空港は9日、周辺で煙が確認されたため閉鎖されました。
事態を受けてポーデル大統領は9日に声明を出し、抗議活動の参加者に対して平和的に問題を解決するよう協力を呼びかけましたが、事態が収束するのか見通せない状況です。
現地で募る不安と心配

ネパール人の夫とともに首都カトマンズで17年以上暮らしている秋山真美さんが9日夜にNHKのオンラインインタビューに応じました。
秋山さんは9日の市内の状況について、「高台にある自宅から、空高く上がっている煙が20か所ぐらい確認できました。いつもは空港の滑走路が見えるのに、それが見えないくらい空が煙で覆われていました。近くに政治家が住んでいるという話で、そこからは一日中、黒い煙がもんもんと立ち込めていました」と話し、各地で放火が行われるなど、街全体が緊迫した状況にあると証言しました。
また、「政府関係者が設立したという学校が標的となり、校門付近が放火されていたのが見えました。一部の学校では窓ガラスが割られたり放火されたりして、建物がハンマーなどで壊されているようです」と話し、学校まで暴力の標的となっていることにショックを受けている様子でした。
さらに、秋山さんは「スーパーが、大きいところから放火されているということで、小さいお店などにも次々に影響が広がっていったら収拾がつかなくなってしまいそうです」と食料品などが手に入らなくなることも心配していました。
そして、今回の抗議デモについては、「ネパールの若者たちは政府に対してものすごく不満があったので、それがこういう形にあらわれてしまったと思う」として、今後の情勢がどうなるのか不安を訴えていました。
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