フランスで大規模な反政府デモが全土に拡大しています。

フランスで10日、インターネット上で「全てを止めよう」という呼びかけが広がったことをきっかけに、全土で反政府デモが行われ、参加者はマクロン大統領の辞任などを求めました。

地元メディアによりますと、全土で150の高校が生徒らによって封鎖され、一部で警察との衝突が起きたほか、西部レンヌの高速道路では、デモの参加者が渋滞で止まっていたバスに押し入り、火を放ちました。

当時バスに乗客はおらず、運転手も無事でした。

当局によると、デモには約19万7000人が参加したとみられ、415人の身柄が拘束されました。

――フランス全土に拡大している反政府デモはどこまで広がるのか?

SPキャスター・金子恵美氏:
これまでも年金改革や政策転換を断行すれば、反発を招くというのは必至だと思うんですが、マクロン大統領も任期はあと2年です。その中でこの状態で持ち応えられるのか、それとも収束するのか極めて不透明だなと思います。

ここからは7月までFNNパリ支局長だったフジテレビ国際取材部・山岸直人部長とみていきます。

まず内容を振り返っていきます。
フランス全土で行われた抗議デモには約19万7000人が参加したとみられていて、400人以上の身柄が拘束されています。

そして激しい抗議デモは、日本人観光客も多いパリでも起こっています。

パリの街中で撮影された映像では、警察とデモ隊が衝突して催涙ガスがまかれ、辺りが真っ白になって人々が逃げまどっている姿が分かります。

そして、飲食店からは火の手が上がって騒然としている様子が分かります。

警察官も駆け付けましたが、時折、爆発を繰り返しながら激しく燃えている様子が分かります。

この辺りではデモ隊の一部が暴徒化したということです。

――抗議デモの最新の状況は?

フジテレビ国際取材部・山岸直人部長:
「全てを封鎖せよ」という呼びかけで全土に一気に広がった今回の運動ですが、10日にはルーブル美術館やベルサイユ宮殿といった観光施設で、一部が閉鎖されたり、あるいは空港で欠航便が出たりするなど、市民や観光客にも影響が一部で起きています。11日朝のパリの様子ですが、まだ朝ということもあり今のところは平穏のようです。ただ、こうした問題が1日で収束するとは考えられず、しばらく緊張は続くものと思います。

なぜフランス全土で大規模なデモに発展したのか、きっかけは10日に辞任したバイル前首相が掲げていた財政再建計画というのが挙げられます。

約7兆6000億円の歳出を削減するという計画に加えて、年間11日ある祝日のうち、2つの祝日を廃止するという案。

そして、高所得者への新税導入や年金と社会福祉給付の凍結措置などが盛り込まれていて、このような計画が抗議デモの火種になっています。

――なぜ市民は強く反発している?

フジテレビ国際取材部・山岸直人部長:
フランスはEUで2番目に経済大国でありながら、公的債務が対GDP比で113%とEUの中でギリシャ、イタリアに次ぐ3番目に高い水準なので、政府は一定の痛みを伴う緊縮財政をとっていかなければならない。これは確かなのですが、フランスはもともと社会保障の手厚い国なので、こうした権利が一部でもはく奪されると、国民の反発が大きくなります。それが今まさに起きているということです。

――祝日を2日減らすということも関係している?

フジテレビ国際取材部・山岸直人部長:
この狙いは労働時間を増やすことによって経済成長を促すという目的がありますが、今回対象となっているのが“イースターマンデー”と5月8日の戦勝記念日といわれています。この辺りに祝日が多いということが理由に挙げられていますが、いずれの祝日も宗教や歴史に由来するものが多く、フランス人からすれば、こうした伝統と歴史を重んじる人たちからすれば、なんてことをするんだという反発が大きく起きています。

――このデモは収束するのか、また、マクロン大統領の責任論に発展するか?

フジテレビ国際取材部・山岸直人部長:
マクロン大統領は、もともと富裕層を優遇するような見られ方がされているので不満の声が高まっていますが、とにかく国民としっかり向き合うことが今、求められていると思います。

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