24年前の9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件では、ハイジャックされた4機の旅客機が、ニューヨークの世界貿易センタービルや首都ワシントン郊外の国防総省などに激突し、日本人24人を含むおよそ3000人が犠牲となりました。
このうち、ニューヨークの世界貿易センタービルの跡地では事件から24年となった11日、追悼式典が開かれ、遺族などが参列しました。
犠牲者のうちいまだ1000人以上の身元が特定できていないことからニューヨーク市は新たな技術を取り入れながらDNA鑑定を続けていて、先月新たに3人を特定しました。
式典では、犠牲者一人ひとりの名前がゆっくりと読み上げられ、ビルに旅客機が激突した時間などに合わせて黙とうをささげました。
一方、トランプ大統領は「戦争省」という名称を使えるようにした国防総省での追悼式典で演説し、テロを含むすべての戦いに勝利すると強調しました。
犠牲者の4割 身元の特定できず
世界貿易センタービルで犠牲になった2753人のうち、4割にあたる1100人については、当時、現場から収集された遺骨などからDNAを抽出するのが困難で、身元の特定にはいたっていません。
一方でニューヨーク市で事件や事故で亡くなった人の科学的な捜査を担う検視局では、同時多発テロ事件の犠牲者の身元を特定する専門のチームがDNA鑑定を続けてきました。
事件から24年の間に新しい技術も開発され、例えば、骨を凍らせて粉砕する装置を導入したことで、保管していた遺骨の一部から新たにDNAを取り出したケースも出ています。
責任者のマーク・デザイアーさんは「ほとんどの細胞は、跡地での火災や水、日光によって分解され、破壊されています。細胞が存在していることがわかっていてもDNAの状態は不明です」としたうえで、「アメリカには197のDNAの研究所があり、新たな技術が開発されれば、間違いなく同時多発テロ事件でも活用していきます」と説明しています。
デザイアーさんは、同時多発テロの当日、遺体の収容などにあたるため現場に向かい、ビルの倒壊を近くで目の当たりにしました。
デザイアーさんは「犠牲者の身元の特定は、私が人生とキャリアをささげてきた使命です。科学を前に進め、同時多発テロの犠牲者を特定して家族のもとに返還できるよう仕事に取り組んでいます。家族は愛する人を再び抱き締めたい、あるいは形のあるものとともに葬儀を行いたいと願っています。家族が心の整理をすることができるなら、すばらしいことです」と話していました。
同時多発テロ事件の遺族でつくる団体の代表を務めるマリー・フェチェットさんは、「DNA鑑定の技術が向上し、保管されている遺体から特定できるものも出てくるでしょう。犠牲者の子どもたちの世代は、身元特定のプロセスに詳しくないかもしれません。鑑定が継続していることを伝え続け、特定を知らされたときには私たちが支援することも重要です」と話し、今後も続くDNA鑑定にどう関わっていくかも、遺族どうしで引き継いでいきたいとしています。
トランプ大統領 “アメリカは勝ち続ける”
アメリカのトランプ大統領は、11日、同時多発テロの現場の1つだった国防総省で演説し「あの日、残忍な怪物がわれわれの文明の象徴を攻撃した。だが、アメリカの人々はためらわずに立ち上がり、世界に対してわれわれが決して屈せず、諦めないことを示した」と述べました。
そして「兵士たちは『アメリカを攻撃すれば、地球の果てまで追い詰め、容赦なく粉砕する』という明確なメッセージを世界中の敵に送った。だからこそ、われわれは国防総省の名称を『戦争省』にしたのだ。アメリカは勝ち続け、敵は常に負ける」と述べました。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。