夢洲から

 イランの核施設を爆撃した米国が大阪・関西万博で出展するパビリオンのそばにある「ポップアップステージ東内」。6月末、イラン出身の俳優、サヘル・ローズさん(39)が難民の子どもたちから託された3通の手紙を読み上げた。

 「魔法が1回使えるなら、爆弾で死んだ姉と弟を空から地球に帰してあげたい」「国の偉い大人は戦場を歩き、生き残った人の痛みを知って欲しい」

 そんな思いをつづったロヒンギャ難民の男の子は、すでに亡くなっているという。

  • 【手紙全文】「戦争に人間は勝てる」 サヘル・ローズさん、万博で平和祈る朗読劇

 サヘルさんは、イラン・イラク戦争で戦争孤児になった過去がある。8歳で養母と来日した。

 「難民」には一人ひとりに名前があり、尊厳と人権がある。それを伝えたいという思いで、世界各地の難民キャンプなどに出向き、子どもたちの声を聞いてきた。

 万博では各国が争わず、共存できている。そんな「理想の未来がある」場所だからこそ、楽しい催しや先端技術だけでなく、今この瞬間も戦争で人が亡くなっていることにも目を向けて欲しいと願っているという。

 サヘルさんは「理想の未来をイメージしながら当事者の声を発せられたのは、すごく大事な一歩」とも話した。

 万博は残り約1カ月。約160カ国・地域が参加する「平和の祭典」で発信される言葉に、最後まで耳を傾けたい。

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