組織改革を進めている国連が、経費や人員の削減を反映した新たな2026年通常予算案をまとめた。総額は約32億ドル(約4700億円)で、前年予算から15%削減した。役職については全体の約19%にあたる2681人分を廃止する。一部業務を、比較的低コストで業務が行えるケニアのナイロビなどに移転する。

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 国連高官が16日、報道陣に明らかにし、「かなりの削減だが、慎重に検討した」と述べた。開発途上国をはじめとする加盟国の支援担当部署などは削減の対象外としたという。

 分散、重複していた業務を整理し、一部業務は米ニューヨーク(NY)やスイスのジュネーブから低コストの拠点への移転も進める。人事や財務などの管理業務はNYとタイのバンコクの拠点に集約。現在8拠点で行っている給与支払い関係の業務は、NY、ナイロビ、ウガンダのエンテベの3拠点にするという。

 加盟国による分担金の支払い遅延などで資金繰りに悩まされてきた国連は、国際機関への資金拠出に否定的なトランプ米大統領の復権も受ける形で、3月から組織の合理化や経費削減などの検討を始めている。

 今回の予算案は、すでにまとめられていた26年予算案に、3月以降の検討内容を反映した「改訂版」。15日付で加盟国側に示しており、年内に承認を得る予定だ。国連の関連機関の統廃合についても別途検討が行われている。

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