
厚生労働省の専門部会は18日、勃起不全(ED)治療薬「シアリス」(一般名・タダラフィル)について、医師の処方箋なしで薬局で購入できる市販化を了承した。薬剤師による対面販売が必要な「要指導医薬品」に指定され、厚労相が承認する見通し。ED治療薬の市販化は国内初となる。
治療薬の市販化を巡っては、5月にあった専門家らによる評価検討会議で課題などが話し合われた。日本泌尿器科学会など関連学会の多くは賛成していた。
政府の規制改革推進会議などは2023年、審議や決定の期間を短くするよう求めており、厚生労働省は24年10月に議論の過程を「時短スキーム」に変更。初めてその対象となったのがタダラフィルなど三つの成分だった。8月下旬に市販化の方針が決まった緊急避妊薬は、議論に9年近くかかっていた。
辻村晃・順天堂大医学部付属浦安病院教授(泌尿器科)は「(ED治療薬は)偽造品がかなり流通してしまっているので、正規薬を入手するハードルが下がる。薬で症状が改善しない人は動脈硬化が進行している可能性があり、そうした患者さんの掘り起こしや医療機関への必要な受診にもつながる」と語る。
日本性機能学会理事長の佐々木春明・昭和医科大藤が丘病院教授(泌尿器科)は「現状、適切な問診をせず大量に処方するクリニックやオンライン診療のクリニックもある」と指摘。「市販化にあたっては薬剤師が個数を制限して対面販売し、内服薬や心疾患の有無などをチェックリストできちんと確認して説明することで、安全性を高めてほしい」と述べた。【中村好見】
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