京都府南丹市美山町の諏訪神社で5日、京都府の登録無形民俗文化財に指定されている「棚野の千両祭」が行われ、四つの異なる奉納芸が披露された。15年に一度開催される祭りで、本来は2020年に行われるはずだったが、コロナ禍で開催中止となり、20年ぶりの開催となった。地域人口の減少で存続が危ぶまれたが、口伝とされていた奉納芸の伝承を映像化するなどして練習し、今回の開催を実現したという。
一般的に、一つの神社に奉納される芸や舞踊は一つとされるが、この祭りでは複数の芸が奉納される。五つの地区が神楽や太刀・長刀振りなどの奉納芸をし、華麗さや多額の費用をかけたことから「千両祭」とも呼ばれる。いつごろ始まったかははっきりしていないが、明治時代は、50年に一度行われる大きな祭りだったという。
宮総代で実行委員長を務める田中幹生さん(80)によると、「15年後だと人口減少などで開催できなくなるかもしれない。できるだけ早く開きたい」と話し合って、今年、開催することにしたという。
奉納芸は、本来は踊りが20人前後、笛や太鼓を合わせると、多いところで60人ほどが参加するが、今回は50人前後。高齢化で笛や太鼓の演奏をしながら地域を練り歩くことも難しくなり、演奏をする人を交代制にしたり、踊りに参加する人を減らしたりしたという。
田中さんは「映像を残したことで、継承はできた」と胸をなで下ろす。「次回は、四つの芸を同時に奉納できなくても、どれか一つでも奉納して千両祭を続けていきたい」
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