
乳がんの早期発見と診断、治療の大切さを伝える「ピンクリボン運動」の推進月間である10月に合わせ、公益財団法人・日本対がん協会は、乳房の状態を日常的に意識する方法を伝える漫画や動画を公開している。
乳房を意識する生活習慣を
乳がんは日本女性の約9人に1人が発症する、女性にとって最も身近ながんだ。年に約10万人が新たに診断されるが、適切な治療を早期に始めれば多くは回復するとされる。そのためにも、定期的な検診や乳房の変化に自分でいち早く気づくことが大切だ。
漫画は20代後半の女性らが主人公。乳房の様子をチェックする際、指をそろえて全体を触るなど具体的な方法を説明している。
乳房を自身で確認して意識することは「ブレスト・アウェアネス」と呼ばれ、入浴時など日常的にすることが望まれる習慣。しこりや赤み、ひきつれ、くぼみ、乳頭からの分泌物といった変化を見つけ、受診につなげることが目的だ。

漫画を監修した静岡県立静岡がんセンターの植松孝悦・乳腺画像診断科部長は「ブレスト・アウェアネスは費用がかからず、世界保健機関(WHO)も推奨している」と呼びかける。
40歳以降は、2年に1回検診を受けることも早期発見には欠かせない。特に、母親や姉妹ら血縁者に乳がん患者がいる場合には、専門医への相談も必要になる。
検診はマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)が基本だが、全体が白く写ってしまう「高濃度乳房」の人では見逃されることもある。植松さんは「必要に応じて超音波や磁気共鳴画像化装置(MRI)検査を追加する個別化検診も推奨される。ただし、誤って陽性となるリスクや費用負担増というデメリットがあることも理解しておくべきだ」と語る。
痛みのない検診も広がる
「ドゥイブス法」というMRIを使った検診も任意で広がり始めている。今年6月に滋賀県彦根市が費用助成の予約を始めたところ、3日間で定員の500人に達した。
考案した画像診断を専門とする高原太郎医師によると、マンモグラフィーでは痛さや恥ずかしさに抵抗を覚える女性もいるが、着衣のまま受けられ、痛みもないという。ただし、がんを正しく見つけ出す精度などは検証中で、研究が続いている。

日本対がん協会などでつくる「ピンクリボンフェスティバル運営委員会」が公開する情報はウェブサイト(https://pinkribbonfestival.jp/)で見られる。【渡辺諒、寺町六花】
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