旭川医大がクラウドファンディングで更新を目指すドクターカー=旭川市で2025年10月21日午後3時40分、横田信行撮影

 北海道旭川市の旭川医大は、医師らを乗せて現場に駆けつける“走る診療室”ドクターカーの更新費用を募るクラウドファンディング(CF)を実施している。寄付の受け付けは12月19日まで。

老朽化や出動増で支障出る恐れ

 同大病院は道北・道東の広域医療の拠点病院。ドクターヘリは運航が天候に左右され、着陸地も必要になるため、これを補完する形で現在のドクターカーが2014年に導入された。医師と看護師、救急救命士が乗り込み、現場で高度な治療と患者の搬送ができる。

 救命や予後の改善につながる救急診療で重要な役割を担い、事故現場への出動や胆振東部地震(18年)や能登半島地震(24年)における災害支援でも活躍した。

 旭川市にあるドクターカーは1台のみ。当初は同大病院の30キロ圏内での利用を想定していたが、市外への出動も増え、近年は年間50件前後だった出動件数も増加傾向という。

 だが、同等の耐用年数の救急車は7~10年で更新される一方、旭川のドクターカーは更新されていない。耐用年数を超え、過酷な救急・災害現場での使用に支障が出る恐れが高まっている。

大学病院、経営厳しく

 さまざまな医療機器・設備を備える車両は高額で、西川祐司学長は「過酷な使用条件で老朽化が進んでいるが、大学病院の厳しい経営状況の中、新規の車両を購入する予算を立てるのが困難」と話した。

 同大は研究活動や設備投資のための新たな資金調達の手段としてCFに着目。24年5月にCFサイト運営「レディーフォー」と業務提携した。

 今年1月には第1弾として、がん治療の研究など三つのプロジェクトの資金調達に成功。今回は第2弾で、患者搬送機能がない車両が購入できる約2300万円を目標額に設定。4000万円に達すれば、現有のドクターカーと同じ機能を備えた車両が購入できるという。

 同大の岡田基・救命救急センター長は「(病院に到着するまでの間に救急現場で行う)病院前医療の必要性、重要性に共感し、『地域医療を守るため、ともに走ろう』という思いに賛同いただき、支援と協力をお願いしたい」と呼びかける。

 CFは税制上の優遇措置を受けられる寄付金控除型で、ドクターカーのお披露目会への招待などの返礼品もある。寄付はCFサイト(レディーフォー)で受け付ける。【横田信行】

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