 
      サッカー強豪校の熊本県立大津高(同県大津町)で2022年、当時1年生だった元部員の男性が上級生からいじめを受けた問題で、県教育委員会が設置した第三者委員会は31日、いじめ行為を認定する調査報告書を公表した。部員間でプレーの失敗をちゃかすなどの「いじり」が日常化し、「本件の遠因ないし原因となった可能性を否定できない」と指摘。サッカー部を「いじめが発生するリスクが高い集団」とした。
報告書などによると、男性は22年1月、全国高校選手権の応援で訪れた東京都内の宿泊先で、上級生から「あだ名を付けたのお前なの」などと言われて全裸で土下座させられ、周囲がその様子をスマートフォンで撮影した。男性が23年7月に学校側に相談して発覚。県教委はいじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に認定し、第三者委が調査を進めてきた。
報告書は、いじめに対する指導者への教育機会や学校側の相談体制が不十分だったと結論付けた。また、大津高サッカー部が多数の部員を抱えていることを踏まえ「多くの生徒は進学した当時抱いていた夢を実現できない状況にあり、はけ口を求めていじめに走る生徒が現れることも容易に予想できる」と指摘した。
 
      報告書を受け取った浦本清隆校長は「被害者とご家族に深くおわび申し上げる。報告書の中身を精査し、いじめのない学校づくりに取り組む」と述べた。
一方、熊本県庁で記者会見した男性は「学校や指導者の日常的な対応について報告書で言及されていない。全く納得がいかない」などと語った。
この問題を巡っては、熊本地検が強要罪で上級生2人を起訴。2人は起訴内容を否認している。【野呂賢治】
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