北海道芽室町の畑作農業法人「尾藤農産」が商品化した「雪室熟成じゃがいも『冬熟(ふゆじゅく)』」が、2025年度のグッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会主催)に選ばれた。雪を活用した農産物の付加価値化と名称、パッケージなど一連の取り組みが新たな「食のデザイン」と評価された。【鈴木斉】
尾藤農産は約130ヘクタールの畑地で小麦や小豆などを生産。ジャガイモは約25ヘクタールで男爵やメークインなど5品種を栽培している。倉庫の半分ほどに雪を詰め込み、夏場でも内部の気温を2度程度に保って長期保存する雪室熟成は15年前から取り組んできた。
尾藤光一社長は「子供のころ、畑仕事で忙しい両親に代わり、祖母が作る『越冬ジャガイモ』を使った肉じゃがなどの料理が大好きだった」と振り返り、「何とかあのジャガイモのおいしい味を伝えたいと思ってやってきた」と話す。
当初は倉庫内の温度調整に苦労し、芽が出て廃棄処分することもあったが、試行を重ねて低温、高湿度を保つ技術を確立した。現在は年間約300トンの熟成ジャガイモを生産している。
雪室で数カ月から2年ほど熟成させることで、ジャガイモのでんぷんが糖に変化し、甘くなめらかな味が生まれるという。秋の収穫期に偏りがちな出荷時期も分散でき、収益の安定化にもつながっている。
味覚とともに雪室という環境にやさしい保存法も相まって、年々全国の物販店や高級レストランなどからの需要が拡大。今年は「冬熟」を商標登録し、贈答用のパッケージデザインにも力を入れた。芽室町のふるさと納税の返礼品にもなっている。
同賞の審査委員からは「農産物に新しい価値を与え、ネーミングやパッケージを含めた統合的なデザインが、日常品としてのジャガイモを『選ばれる特別な食材』へと昇華させている」などと評価された。
7日に帯広市内であった記者会見で、尾藤社長は「根もの野菜でグッドデザイン賞が取れたことに驚いた。諦めずに続けてきてよかったと思う」と受賞を喜んだ。
冬熟のパッケージのデザインや雪室熟成のブランド化を支援してきたデザイン会社「ファームステッド」(帯広市)の長岡淳一社長は「雪という地域資源を有効に使った活動そのものが評価され、大変うれしい」と話した。
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