早期乳がん患者に対し、放射線治療の一種「重粒子線治療」を実施したところ、5年間再発しなかった割合が92%だったとする臨床研究結果を、量子科学技術研究開発機構QST病院のチームが発表した。乳房切除ができない患者や、切除を希望しない患者の選択肢の一つになることが期待される。
早期乳がん治療では、乳房の一部、もしくは全てを切除する手術が標準治療となる。一方で、生活の質の維持や見た目の問題から、乳房を温存する治療のニーズが高まっている。
QST病院では、狙った腫瘍部分で線量が高まり、一般的なエックス線よりも効率よくがんを死滅させられる重粒子線(炭素イオン線)を使った治療の臨床研究を実施した。
乳がん患者のうち、腫瘍が2センチ以下でリンパ節転移がなく、悪性度が低い60歳以上の患者12人を対象にした。1日1回照射を計4日実施し、ホルモン療法を併用して経過を観察したところ、5年全生存率は100%、5年間再発しなかったのは92%だった。1人は再発し、切除手術をした。
照射後、1カ月で6人に軽微な皮膚の変化や皮膚炎があったほか、2人が肋骨(ろっこつ)の骨折、3人が乳腺炎となったが回復し、安全性も確認できたという。
QST病院では、対象患者を20歳以上に広げるための臨床研究や、50歳以上で照射回数を1回のみにするための臨床研究を進めている。
同病院の村田和俊・泌尿生殖器腫瘍課長は「標準的な治療にするためには、多施設で同様の結果が得られるかがポイントとなる。さらに研究を進め、希望する人に届く治療法として確立したい」と話した。
成果は放射線治療に関する国際専門誌に掲載された。【渡辺諒】
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