写真はイメージ=ゲッティ

 「食べられるものの種類が少ない」「食事を拒否する」。子どもの偏食や小食に悩み、栄養面などへの不安から何とか食べさせようとする保護者は多いのではないだろうか。神奈川県立こども医療センター偏食外来の大山牧子医師は「子どもにとったら新しい食べ物は『モンスター』。強制をやめることが改善に向けたスタートだ」と話す。

 厚生労働省の「2015年度乳幼児栄養調査」では、2~6歳児の保護者の3割ほどが偏食に困っていると回答した。10年に1度の調査で直近のデータはないが、療育センターなどで、乳幼児の保護者を中心に相談に乗ってきた管理栄養士の藤井葉子さんのもとには「アイスだけしか食べない」「そのうち良くなる、様子見をしようと言われてきたが改善されない」などという相談が多数寄せられてきたという。

偏食の要因

神奈川県立こども医療センター偏食外来のパンフレット=大山牧子医師提供

 大山医師によると、偏食はさまざまな要因がからみ合っている。口腔(こうくう)機能が未熟であったり、感覚過敏や鈍麻などで感覚処理がうまくいかない場合だったり。不安が強いといった心理的な影響もあるという。

 改善のために大切にすべきことは「一切の強制をせずに、子どもに食べる、食べないの選択をさせることだ」と説く。

神奈川県立こども医療センター偏食外来のパンフレット=大山牧子医師提供

 スプーンで食べさせると、顔を背けたり、手で払いのけたりするのであれば、スプーンで与えることをやめてみるのも手だ。「一口だけでも食べよう」「せっかく作ったのに」と口にするのもNGだ。子どもが食べ物に興味を持ったら、親が「サクサクしているね」などと楽しく言葉にするのも効果的だ。

 食事を楽しむことに集中できるような空間作りも重要だ。体格にあった椅子と食卓の高さにし、家族一緒に食べる。子どもは、親を見本として、適切な食事の仕方を学んでいくためだ。

 大山医師によると、用心深く、心配性な子どもは、食べ慣れない食べ物をモンスターのように怖く感じることもあるという。絵本で食材の成長を一緒に見たり、料理を一緒にしてみたりと食べ物を知る時間を作る工夫も必要だ。

「長い目で見て」専門医

神奈川県立こども医療センター偏食外来の大山牧子医師=本人提供

 大山医師は「今日この時間の栄養摂取をなんとかしようとせず、長い目で見ること。最終目標は、子ども自ら必要なものを選んで必要な量を食べるようになることで、子どもを信用することが大事だ」と話す。

 食べる技能の完成は3歳といわれており、大山医師が診察にあたる偏食外来では、受診の対象を原則3歳未満としている。大山医師は「専門家への相談は早めにしてほしい」と呼びかけている。【宮島麻実】

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