
お盆シーズンで帰省客が増えるなか、新型コロナウイルスの感染者が再び全国で増加している。流行の中心はオミクロン型から派生した変異型で通称「ニンバス」。強い喉の痛みが出る。重症化するリスクは従来の新型コロナとかわらないとされるが、エアコンの使用による乾燥と勘違いして感染に気づかないこともあり注意が必要だ。
厚生労働省によると、7月28日から8月3日(第31週)の新型コロナウイルスの1医療機関あたりの患者数は5.53人と、この週まで7週連続で増加した。ただ、24年の同じ時期の患者数は13.3人で、前年と比べれば少ない。
ニンバスはオミクロン型から派生した変異型で、世界保健機関(WHO)が「監視下の変異株」に指定している。ゲノム解析の結果では7月中旬時点で国内でもニンバスが約4割を占めた。「8月に入り喉の痛みを訴える患者が増えた印象だ」(東京歯科大の寺嶋毅教授)
ニンバスでとりわけ目立つ症状が喉の痛みだ。欧米では「カミソリ刃の喉」(razor blade throat)と名付けられ、カミソリを飲み込んだような強烈な喉の痛みが特徴としてあげられる。従来の新型コロナと同様、発熱やせき、鼻水などの症状もある。寺嶋教授によると、喉の痛みを感じてから数日は症状が強くなるが、徐々に落ち着くという。
国内で流行している背景の1つは猛暑が続き閉め切った部屋で冷房をつけ、換気が悪くなっていることがあげられる。加えて夏休みの行楽シーズンを迎え、人の移動が活発になり、感染に気づかずに旅行して感染を広げていることもあげられる。暑さが続き免疫力が低下しているとの指摘もある。

ここ数年、新型コロナは夏と冬に流行する傾向にある。過去の感染者数の推移をみると、夏場の流行は9月初旬〜中旬ごろまで続いている。ニンバスの流行もしばらく続く可能性がある。
ニンバスも手洗いや消毒、マスクといった従来の感染症対策が役にたつ。喉の痛みなど体調に異変を感じたら無理せず会社や学校を休むようにして、重症化リスクの高い持病のある人や高齢者と接触を控えることが大切だ。専門家は「体調の悪い時は無理せず外出や仕事を控え、早めに医療機関を受診してほしい」などと呼びかけている。
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