Jørgen Larsen-Unsplash

<苦痛を伴う思考(強迫観念)と不安を解消するための反復行動(強迫行為)が特徴の強迫性障害。初期の兆候は「こだわり」にも見える幼少期の行動の中に?>

多くの親にとって、幼児が「このお皿じゃなきゃ嫌」と言い張ったり、就寝前のルーティンにこだわったりするのは、成長過程に見られる普通のこだわりか、またはただの癇癪のひとつに過ぎないように思える。

しかし一部の子どもにとって、こうした行動は強迫性障害(OCD)の初期兆候である可能性がある。この障害は一般的に、年長の子どもや大人に見られるものと考えられがちだ。

「OCDは、望んでいないのに繰り返し浮かびあがる、苦痛を伴う思考(強迫観念)と、それに伴う不安を解消するための反復的な行動(強迫行為)によって特徴づけられます」と臨床児童心理学者のケンドラ・リード博士(Dr. Kendra Read)は本誌に語る。

「とても幼い子どもの場合、普通の行動と問題のある行動を見分けるのは難しい。なぜなら、幼児の多くは本能的に『同じであること』や『繰り返し』を好むからです」とリード氏は説明する。

強迫性障害(OCD)が現れるのはいつから?

OCDは一般的に8〜12歳ごろ、あるいは思春期後期に発症することが多いとされるが、国際OCD財団によれば、就学前の子どもも診断される可能性がある。

『アメリカ児童・青年精神医学会誌』に掲載された研究では、OCDを抱える子どもや若者は全体の約1〜3%とされており、そのうち一部は5歳以前に発症する早期ケースも含まれる。

オンラインでメンタルヘルスサービスを提供する「Brightline」のセラピー部門副代表でもあるリード氏は、OCDと通常の幼児の行動を見分けるには、次の3つの要素が重要だと指摘する。

①「苦痛」──その行動ができなかったとき、子どもがどれほど強い不安や動揺を示すか。

②「生活への支障」──その行動が、子ども自身や家族の日常生活にどれだけ影響を与えているか。

③「持続性」──その症状が数週間から数カ月にわたって続いているかどうか。

たとえば、就寝前のルーティンが1時間以上かかり、手順が少しでも「間違っている」と最初からやり直さなければならず、それを中断されると強い動揺を示す場合、単なる習慣以上のものかもしれない。

他にも注意すべきサインとして、過度な手洗いや、儀式的な理由や不安から特定のおもちゃや場所を避けるといった行動がある。これらは、状況と無関係に見える非合理的な恐怖や習慣に基づいていることが多い。

親と環境の役割

子どもの不安を避けようとして、家庭内の環境やルールをその子に合わせて調整することは、結果的に強迫行動を強化してしまう可能性がある。

「つまり、OCDに『従ったやり方』で世界を構築してしまうことです。たとえば、汚染への不安がある場合に、子どもが求めるたびに新しいフォークや皿を用意する、あるいは就寝ルーティンを毎回まったく同じように行い、それが何時間にも及ぶようになる、というようなケースです」とリード氏は語っている。

子ども自身はそれほど苦痛を感じていないように見えても、親が「OCDのルール」に従って日々を送ることで、心身ともに疲弊してしまうケースもあるとリード氏は指摘する。

また、家族の病歴も重要な要素だ。OCDや不安障害は家族内でつながりが見られる傾向があり、共通の気質から特定の行動が現れやすくなることもある。

親ができること

正式な診断がなくても、親が子どもを支援する方法はある。たとえば、「これがすごく不安なんだね」と気持ちを認めてあげること、不安に「心配モンスター」などの名前をつけて距離を取ること、小さな一歩を踏み出せるよう優しく促すこと──ただし常に安心できる状況で行うことが前提だ。

「就学前の子どもには、紙に簡単な冒険マップを描いて、『勇気のポイント』を途中に設け、最後に宝箱(たいていはアイスクリーム屋へのお出かけ)を置くようにしています」とリード氏は語る。「親なら、その子にとって何がモチベーションになるかを一番よく知っているはずです」

不安が続く場合は、専門家の「評価」を受けることが推奨される。評価は通常、保護者への聞き取り、教師からの情報提供、子どもの行動観察などを通じて行われる。

科学的根拠に基づいた治療法としては、認知行動療法(CBT)と曝露反応妨害法(ERP)を組み合わせたアプローチが、幼い子どもにも高い効果を示している。

「OCDや不安障害は『一生続く病気』ではありません」とリード氏は語る。「効果的な介入があれば、たとえ一時的に診断基準を満たしていたとしても、治療の目標は『診断基準を満たさない状態』にまで回復することです。それは十分に可能です」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。