連日、興奮と感動が止まらない世界陸上。今大会、中島佑気ジョセフ選手をはじめ、2002年生まれの選手が注目されています。
日本人選手の強さとは?また、日本のお家芸、4×100mリレーの見所を、元日本代表の朝原宣治さんが徹底解説します。

■注目の“2002年世代”が大活躍…まだまだ間に合う“世界陸上のススメ”

南波雅俊キャスター:
熱戦の続いている世界陸上。今大会で大活躍の選手たちを振り返っていきます。

まず、注目は“2002年世代”です。400mで6位入賞を果たした中島佑気ジョセフ選手(23)、110mハードルで5位入賞の村竹ラシッド選手(23)、さらに3000m障害で8位入賞の三浦龍司選手(23)も2002年生まれの世代です。

陸上競技 元日本代表 朝原宣治さん:
私たちの時代にあった「ここには行けない」という、限界を突破してくれた若い選手たちです。常識が覆されたということで、本当に驚いています。

南波キャスター:
まずは中島選手の走りの強さ、その秘訣を朝原さんに伺っていきます。

中島選手は18日、400m決勝で6位入賞を果たし、日本勢で過去最高の記録となりました(1991年の高野進選手の7位を更新)。強さの秘訣は“驚異のラストスパート”だということですが、特に中島選手のどの点が、このラストスパートに繋がっているのでしょうか?

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
“驚異のラストスパート”と言われていますが、これはペース配分が素晴らしいということに言い換えられます。

これまでの400mで日本人選手は、他の選手と戦い抜けるように、前半に飛ばして、無理やりついていった感覚がありました。しかし中島選手はイーブンのペース、自分のペースで最後まで走りきるというプランをしっかり立てて、レースを戦い抜くことができていました。

他のライバル選手のペースが落ちてきたところでも、自分のエネルギーを最後まで維持して走りきったという観点が、客観的には“驚異のラストスパート”のように見えるのだと思います。

南波キャスター:
想定どおりというか、そういうプランで本番に臨みたいと、中島選手は以前から発言していました。実際に世界陸上の大舞台でそれを実行できる凄さには、どのようなものを見ていますか。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
中島選手は、ヨーロッパなどの世界のレースを回っていません。しかし、自分の体に刻まれている「これぐらいで走ったら、これぐらいのタイムで100m、200mの地点を通過して、これぐらいのタイムでゴールまでいける」という感覚を、あの緊張する場面で貫いているというメンタルも凄いと感じます。

山内あゆキャスター:
長距離であれば、自身でタイムを確認しつつ走ることができますが、400mだとそれも出来ないまま、ということですよね。

日比麻音子キャスター:
“究極の無酸素運動”といわれる競技ですもんね。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
しかも今大会のレベルは高く、凄腕の選手たちと走っているのですが、その中で自身のペースを落ち着いて貫き、最後までエネルギーを残したまま走り抜くというのが素晴らしいです。

日比キャスター:
しかもレース直後のインタビューでの語彙力、さすがは読書家だなと思うぐらいに、とても冷静でクールで本当に素晴らしい選手だと思います。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
中島選手含め、“2002年世代”の3人はインタビューで本当に素晴らしいコメントを残しますし、村竹ラシッド選手のインタビューには、僕は泣かされました。

■元銀メダリストが徹底予想…4×100mリレーのメンバーは

南波キャスター:
その村竹選手について、走りの凄さや“日本人最高位タイ”5位入賞という記録はもちろんですが、スタート時の“ポーズクイズ”というのも、競技とはまた違った角度で話題になっています。いずれもアニメ、あるいは漫画のポーズをしているということです。

日比キャスター:
決勝戦では“ジョジョ立ち”でした。

山内キャスター:
準決勝ではハートを作っているのかと思いましたが…。

日比キャスター:
「ボボボーボ・ボーボボ」でしたね。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
私たちの世代ではこういうことはしていませんでしたが、アニメのキャラクターになりきって“ヒーロー”として戦いにいくという、心の準備ができるのかもしれないですね。

日比キャスター:
本当に世界中の皆さんが、レースの始まる前から魅せてくれているなと感じます。

南波キャスター:
そして、いよいよ20日から、4×100mリレーの予選が始まっていきます。注目のメンバーについて、朝原さんの予想を含め伺っていきます。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
1走候補としては、小池祐貴選手(30)と高校生の清水空跳選手(16)、さらに大上直起選手(25)。

2走候補としては、今季絶好調の柳田大輝選手(22)に走ってもらいたいですし、サニブラウン選手(26)も体調が良ければ走ってもらいたいです。

3走は、もともと桐生祥秀選手(29)が固定ということでやってきました。その桐生選手から4走は鵜澤飛羽選手(22)へ、という練習もよく行っていましたので、この流れは堅いかなと思います。

一方で、鵜澤選手は個人で200mに出場しているダメージがありますので、4走の候補には井上直紀選手(21)も控えていると思います。

南波キャスター:
もう、全員に出場の可能性があると。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
守祐陽選手(21)にも、2走の可能性があると思います。

日比キャスター:
東京での開催で多くの歓声を受けて、どの選手も見事に声援を力に変えて臨んでいます。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
4×100mリレーは最終競技として、ぜひ結果を残して欲しいです。

南波キャスター:
最後に、オリンピック銀メダリストの朝原さんに、リレーのバトンを渡すポイントを実演で解説していただきます。

陸上競技 元日本代表 朝原さん:
日本代表はアンダーハンドパスを実践しています。私たちの世代は、体をかなり近くしてバトンパスをしていたのですが、今は体の距離を離したほうが利得距離を得られるということで、少し上めにバトンを渡します。

渡すのは下からなので、距離を保ちながら、バチッとバトンが渡ると好感触です。体が近づきすぎて詰まってしまったり、あるいは手が届かなかったりすると、スピードが落ちてしまうということです。

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<プロフィール>
陸上競技 元日本代表 朝原宣治さん
1996年アトランタ五輪から陸上4大会連続代表
2008年 北京五輪4×100mリレー銀メダリスト

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