「タンブリング」という競技を、見たことはありますか?男子新体操を描いたTBSドラマ「タンブリング」を想像する人も多いと思いますが、今回紹介するのは新体操ではありません。ただドラマのタイトル「タンブリング」の本来の意味は「床上での前宙、バク転、バク宙、側転などの跳躍・回転技」。この意味を体現するような競技が、今回紹介する「タンブリング競技」です。
タンブリングって何?
競技としての「タンブリング」は体操の床運動と、トランポリンの要素を併せ持つ競技。
「トランポリン」が上下の跳躍で技を10回連続行うのに対し、「タンブリング」はスプリングの入った床の上で進行方向=横方向に向かって技を8回連続で繰り出します。
世界レベルの大会になると、驚くほどのスピードで選手が回転していくので、見ているこちらも目が回りそうになる、迫力と美しさを兼ね備えた競技です。
「非五輪競技」のため、なかなか皆さんのお目に留まることが少ないと思うのですが、一度見たら、絶対面白いと感じるはず!スポーツキャスター歴17年の筆者が強くおススメする競技です!!
実はこのタンブリングで日本代表として活躍する選手が沖縄にいます。タンブリングができる沖縄唯一の拠点、うるま市のスポーツクラブKENKENで子どもたちの指導をしながら競技を続ける又吉健斗(25)です。
▼タンブリング 日本代表 又吉健斗選手
「やっぱり『タンブリングって何?』から始まるのが現実で、でもそこに立ち向かってもしょうがないなっていうのは自分たちの中であって、しっかり結果を残していく。競技をする中で楽しさや、タンブリングにしかない魅力をいっぱい伝えていこうと思っています」
父・健一さんが運営する体操とトランポリン教室で、又吉は6歳から競技を始めました。RBCには、トランポリンの将来有望選手としてインタビューに応える小学2年生だった又吉の初々しい姿が残っています。
「オリンピック選手になって金メダルを取りたいです」
そんな又吉がタンブリングと出会ったのは小学6年生でした。父にすすめられたYouTubeで競技を見たとき、一目でその魅力に取りつかれました。
「タンブリングに関しては自分から『これやりたい!』と言って、ハマっていった競技なので、本当に嫌だなって思うことは少なかったかもしれないです」
使われていない倉庫を買い取り、タンブリング用の床は、県外の知り合いから譲り受けた、決して新しいとは言えないものでしたが、指導と競技を続けるには十分な施設でした。
沖縄初のタンブリング教室を新設して2年が過ぎ、日本代表としても競技を続ける又吉は今、指導を受ける子どもたちの憧れの存在になっています。
ー将来の目標は?
「世界に誇るタンブリング選手です」
「健斗先生を超えるタンブリング選手です」
▼タンブリング 日本代表 又吉健斗選手
「多分自分だけでやっていたら、こんなに上がって来られなかったので、子どもたちとやっていることによって、パワーをもらえているというのは、めちゃくちゃ感じます」
静岡時代と比べ、充実しているとは言えない環境でも、今年6月の全日本選手権で2連覇を達成し、高難度の演技構成で日本歴代最高得点をマークした又吉は、11月には世界選手権に挑みます。日本代表として世界大会に臨むのは、これが“最後”だと決めています。
日本代表の重圧 世界選手権での引退決意
この日も一緒にトレーニングを行う子どもたちの目の前で代名詞の「伸身2回宙返り3回ひねり」に成功させた又吉。そんな姿に子どもたちは―。
▼子どもたち
「自分もあんなふうになりたいと思いました。技の難度もあるけどめっちゃきれいに演技するのがすごいです」
「又吉先生と一緒に練習するときが、一番楽しい練習ができる」
▼タンブリング 日本代表 又吉健斗選手
「子どもたちがすごく楽しそうにこの競技をやっているときは、やっぱりこの競技は楽しまなきゃダメなんだと実感しますし、ちょっとした成長をみんなで喜ぶ姿を見たときは、『自分もこうだったな』ということをたくさん思い出させてくれます。目標に向かって走る姿や諦めないで立ち上がる姿を見て、とても胸が熱くなることがたくさんあります。11月の世界選手権が最後になりますけど、日本人史上初のファイナル進出とメダル獲得をめざして、最後の最後まで自分らしい演技をしていきたいと思います」
現役最後の世界選手権に向けて、子どもたちのパワーも大きな力にして―。日本タンブリング界の歴史を塗り替える演技をめざし、又吉が“最後の世界の舞台”に挑みます。
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