来年3月に開催されるセンバツ高校野球大会。その出場校を決定する際に重要な材料となる近畿大会への出場を目指す上では、絶対に負けられない一戦。高校野球・秋季兵庫県大会が9月23日(火・祝)に行われ、報徳学園と東洋大姫路が、それぞれ勝利してベスト8進出をはたしました。

明暗分かれた1回の攻防

 近畿大会への兵庫県からの出場校は3校。出場権を手にするためには、最低でも準決勝進出が条件となる兵庫県大会。(近畿大会へは、優勝校、準優勝校、準決勝で敗退した2チームによる3位決定戦に勝利したチームが出場)

 準々決勝進出をかけた報徳学園の相手は、昨年、一昨年と2年連続で夏の全国高校野球選手権大会・兵庫県大会で決勝進出を果たしている明石商。接戦が予想される中、先にチャンスをつかんだのは明石商でした。

 1回表、立ち上がりの制球に苦しむ報徳学園の先発・山田大雅投手から、フォアボールとデッドボールで1アウト満塁と絶好のチャンスをつくります。ここで5番・貝口慈音選手へ狭間善徳監督が送ったサインは、明石商が得意とするスクイズ。しかし、スクイズは失敗し、先制のチャンスを逃してしまいます。

 逆に、報徳学園は、その裏、3番・中尾勇貴選手のヒットなどで1アウト満塁とチャンスをつくると、5番・藤本碧空選手がきっちりとセンターへ犠牲フライ。さらに6番・吉野寛太選手のタイムリーヒットで2点をリードします。

 報徳学園・大角健二監督が「このチームは、リードする展開になると、ある程度落ち着いてしっかり戦えるチーム。1回の攻防、特に1回表のピンチを脱出できたのが大きかった」と振り返ったように、狙いどおりの先行する展開に持ち込んだ報徳学園が、この後も優位に試合を進めていきます。

 4回には明石商に1点を返されますが、5回裏、1番・丸尾泰毅選手のヒットを足掛かりに1アウト1塁・3塁のチャンスをつかむと、4番・岸本玲哉選手がセンターオーバーのタイムリーヒットを放ちます。さらに、5番・藤本選手の内野ゴロの間に3塁ランナーがかえって4対1とリードを3点にひろげました。

報徳学園のエース・澤田投手が突如乱れるも…背番号1を背負う意地見せる

 しかし、両チームが1点ずつを取り合って、報徳学園が3点のリードを保ったまま迎えた8回表、5回から登板していたエース・澤田悠佑投手が突如乱れます。2アウトから明石商の下位打線の粘りの前に3連続四死球。さらに1番・岩崎凌真選手に対して、ボールが先行して3ボール・ノーストライクと長打が出れば一打同点の大ピンチを招いてしまいます。

 明石商の反撃ムードが漂う中、実力はもちろん、精神力が試される場面。ここは、澤田投手が「背番号1」エースナンバーを背負っている意地をみせました。

 「微妙なコースがボールになって、(投球の)リズムを乱してしまったが、ここは、ゾーンに対して思いっきり腕をふることだけを考えた。抑えられるという強い気持ちで向かっていった。とにかく抑えることができてほっとした」と語った澤田投手。3球すべてストレートで押し切って岩崎選手を空振りの三振、最大のピンチを脱出しました。

 大角監督が「U18日本代表にコーチとして帯同してチームを離れた後、練習に復帰すると、チームががらりと変わっていた。選手ひとりひとりが高い意識をもって練習に取り組むようになっていた」と語った報徳学園。9回には、期待される中尾選手がセンターからマウンドへ。切れ味鋭い変化球を武器に三者凡退に打ち取ってゲームセット。難敵・明石商を5対2で下して、見事に準々決勝進出をはたしました。

苦しい試合をものにした東洋大姫路と報徳学園が準々決勝で激突

 その報徳学園と準々決勝で激突することになったのが東洋大姫路。甲子園でも大活躍した昨シーズンのレギュラーメンバーが、ごっそりと抜ける中、こちらは苦しい試合を勝ち抜いてベスト8に勝ち上がってきました。

 タイブレークにもつれ込んだ関西学院との県大会初戦を、藤本亜怜選手の起死回生の逆転スリーランホームランでものにすると、準々決勝進出をかけては、実力校・東播磨と対戦しました。試合は、序盤で4対1とリードするも、追加点が奪えない中でじりじりと追い上げられる嫌な展開。8回表には、ついに4対4の同点に追いつかれます。それでも、直後の8回裏、2本のヒットで1アウト1塁・3塁のチャンスをつくると、代打・丸山滉惺選手が値千金の犠牲フライ。1点のリードをこの試合が公式戦初登板、9回からマウンドに上がった3人目の大野泰聖投手が守り抜き5対4で勝利して、昨シーズンから続いている県内の公式戦連勝記録を「22」に伸ばしました。

 今年の春、夏と県大会決勝で激突した兵庫を代表する両雄の対決。報徳学園・澤田投手が「今年は春の大会も夏の選手権も決勝であたった東洋大姫路に敗れて、ベンチにいた選手はもちろん、見守っていたメンバー全員が悔しい思いをしている。この秋こそは、絶対にやりかえしたい」と話した大一番。敗れればセンバツへの道が断たれる注目の兵庫県大会準々決勝は、9月27日(土)、姫路のウインク球場で行われます。

【秋季兵庫県大会 準々決勝組み合わせ(9月27日)】
▼明石トーカロ球場
六甲アイランド 対 神戸国際大付属 午前10時~
市立尼崎 対 柏原 午後1時~

▼ウインク球場(姫路)
彩星工科 対 明石清水 午前10時~
報徳学園 対 東洋大姫路 午後1時~

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