「トップ選手はみんな自信があって、やってやるって気持ちが、感じられた」

今月那覇市で開催された水泳の沖縄県招待スプリント選手権で、中学3年の正木魁は興奮を隠さずに語った。この大会で彼は県中学記録を更新し、トップ選手たちと肩を並べて泳ぐという貴重な体験を得た。(文中敬称略)

オリンピアン・メダリストが沖縄に集結した理由

沖縄のジュニアスイマーと交流する平井瑞希選手

なぜ水泳のスペシャリストたちが沖縄に集結したのか。大会の仕掛け人は、100m自由型で2018年のアジア大会を制した塩浦慎理だった。神奈川県出身の塩浦は、沖縄水泳界の現状に心を痛めていた。

塩浦慎理
「いろんな沖縄県ならではの悩み、水泳上での悩みとかを聞いていて、少し不利な環境なのかな、というところもあって。まずは1人でも誰か活躍する選手が出てほしいと」

沖縄水泳界が抱える課題

実際、沖縄水泳界には様々な課題がある。全国では主流となっている室内の50m公認プールが、県内にない。大会用のスタート台があるのは那覇市の「奥武山プール」だけだ。そしてこのスタート台も、選手たちは試合の時しか使用することができない。

東京五輪2冠・大橋悠依選手

トップ選手たちの話を必死でメモする子どもたちの姿があった。ノートには赤いペンで線が引かれ、「自分が気をつけていなかったことや気をつけたらいいこと」が記されていた。将来の夢を尋ねられた子どもは、迷わずこう答えた。

「オリンピックに出ることです」

「指導者の学び」が選手の成長を左右する

別室では、指導者を対象にした講習会も開かれた。講師は6大会連続でオリンピックのメダリストを育成した平井伯昌だ。

水泳界の名伯楽で知られる平井伯昌氏

「長所を伸ばしてあげる。小さい時は一番子どもも話を聞きますよね。だけど、短所克服のタイミング、というのをすごく考えていました」

地元の指導者たちも、この機会の重要性を痛感していた。

高校の指導者
「選手育成じゃなくて、やっぱり指導者が一番学ばないといけない。選手は頑張ってるので、指導者の知識不足や経験不足、学びの不足もあると思うので、このような会に参加させてもらって、自己研鑽になりました」

平井伯昌さん
「選手の育成もすごく大切ですけど、指導者の育成が、もっともっと重要じゃないかなと思うので、一生懸命話をさせていただきました」

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