クリケットの男子日本代表が10月、オマーンで開催された「2027年インド・スリランカT20ワールドカップ」(W杯)のアジア・東アジア太平洋予選に臨んだ。

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 本戦初出場は逃したものの、世界ランキング上位国から勝ち星を挙げるなど強化策が実り始めていることを証明した。

 「T20」は3時間ほどで決着する短い試合形式。今回の予選では9チームが本戦出場3枠を争った。

 T20で世界ランク43位の日本は、1次リーグで同23位のクウェートに競り勝ち、6チームによる決勝リーグ「スーパーシックス」に進出。すると、13日にサモア(同64位)を撃破。だが、カタール(同29位)、アラブ首長国連邦(UAE、同16位)、オマーン(同20位)に3連敗を喫し、3位までに入ることはできなかった。

 28年ロサンゼルス五輪での実施が決まっているクリケットは、世界に3億人の競技人口を誇る。1試合を6~7時間で行う「ODI」と呼ばれる試合形式のW杯は、200以上の国、地域で視聴されるビッグイベントだ。

 07年に始まったT20W杯も人気が高く、前回24年大会のインド―南アフリカによる決勝は、デジタル配信の同時視聴者数が5300万人に達したとメディアで報じられた。ロス五輪も、T20で行われる。

 日本は男女とも、ODI、T20のいずれもW杯本戦にたどり着いたことがない。それでも近年、確かな成長を見せている。

 東アジアでの国際大会や親善試合で安定して勝てるようになってきた上、強豪と言われる南アジア諸国に善戦することも。

 男子は23年に60位台だった世界ランキングがじわじわ上昇してきた。

 「今までの日本は2、3人が核になるチームだったが、いまは選手全員が主力級で戦えるようになっている」

 そう話すのは、19歳以下の日本代表に名を連ねる関根千馳(18)だ。選手層の充実ぶりは、これまで積み重ねてきた強化策の成果でもある。

 日本クリケット協会(JCA)が栃木県佐野市に拠点を構えて18年がたった。これまでに、佐野市の支援を受けて天然芝の国際クリケット場を整備。選手が参加するイベントを通じて認知度を高めつつ、体験教室などを開いて競技人口の拡大に取り組んできた。

 日本代表の強化にも積極的で、スリランカ、パキスタンといった強豪と親善試合をしたり、こうした国々から指導者を招いたり。クリケット選手を志す若者の、佐野市への移住支援も進めている。

 佐野市出身の関根も、小学生の時に体験教室を通じてクリケットにはまった一人だ。現在は佐野クリケットクラブに所属し、2年前からは日本代表に。ボウラーの投球を捕るウィケットキーパーを担っている。

 U19(19歳以下)日本代表は26年1月、3大会ぶりにW杯(ジンバブエ、ナミビア)に出場する。関根は、「『日本って強くなっているんだな』と世界に思わせる戦いをしたい」。

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 JCAは25、26日に佐野市栃本町の市国際クリケット場で交流イベント「エンバシーカップ」を開く。クリケットが盛んな国の大使館チームが参加する大会を開催するほか、競技体験会や飲食のコーナー、歌やダンスを楽しむ交流会などもある。詳細はJCAのホームページ(https://cricket.or.jp/archives/32303)へ。

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