12月7日開催の第39回NAHAマラソンまであと約1カ月。38回連続で完走している市民ランナーの宮城保俊さん(59)にコース攻略法やマラソン初心者が意識すべきポイントを聞いた。また、大会を盛り上げ、ランナーを支えるボランティア団体を紹介する。(社会部・西平光葉)

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鍵握る三つの「坂」 攻略法解説

市民ランナー 宮城保俊さん

市民ランナー宮城保俊さん

 NAHAマラソンはコースのアップダウンが激しい。鍵を握る三つの「坂」の攻略法を知り、完走を目指そう。宮城さんにコースの難所と、攻略法、走り方のポイントを聞いた。

前傾 肩の力抜く姿勢で

 初めに、上り坂を走る時の基本姿勢として、「前傾で肩の力を抜き、目線は4~5メートル先を見て走る。腕は小さく振ることを意識する」と解説する。

【難所1】八重瀬屋宜原・国道507号の上り坂 前半はペース配分が重要

難所(1)八重瀬町屋宜原の国道507号津嘉山バイパスの上り坂

 一つ目の難所は11キロ地点辺りの八重瀬町屋宜原の国道507号の上り坂。レース前半で体が元気な分、ペースを上げてしまわないよう気を付けることが大切だという。完走を目指す初心者は1キロ7分台、3時間未満での完走を目指す経験者は1キロ4分台のラップタイムを基準にペースを配分。「手の甲にペース配分をメモしておくと安心」と助言する。

 大体10キロ辺りから自分の少し前を走る人を「目標ランナー」に定め、その人のペースに合わせて走ることを勧める。調子が上がれば、次の目標ランナーに乗り換えてペースアップ。無心で走ってもいつの間にか進んでいる状態をつくることができるという。

【難所2】八重瀬仲座周辺・高低差40メートルの急な坂 呼吸を意識、無理は禁物

難所(2)19キロ地点の八重瀬町仲座周辺から続く急な上り坂

 二つ目の難所は19~20キロ地点の八重瀬町仲座周辺にある高低差約40メートルの急な坂。コースの中で最も高低差があり、脚に疲労がたまる。「無理せず、かつタイムを落とさずに乗り切ること」と念を押す。自分の呼吸に意識を向けながら基本の走り方を守ることで、体力の消耗を最低限に抑えることができると解説する。

 この時、目標ランナーに引き離されても焦りは禁物。その後の下り坂でタイムロスを取り戻す気持ちでペースアップを図る。ただ、スピードを出し過ぎると疲労がたまるので適切な速さを心がけることも重要。下り坂では足裏全体で着地をすることで衝撃が抑えられるという。

【難所3】那覇の赤嶺駅-小禄駅・緩やかな上り坂 疲労は頂点、力振り絞る

難所(3) 那覇市の赤嶺駅から小禄駅まで続く緩い坂

 最後、三つ目の難所は那覇市の沖縄都市モノレール赤嶺駅から小禄駅までの緩やかな上り坂。ゴールの奥武山陸上競技場まであと約2キロだが、疲労はピークに達しており精神的にも追い込まれるだろう。

 しかし、ここで大切なことは「とにかく走り続けること」。ペースが落ちることは当然で、最後の力を振り絞る。宮城さんは「完走後に飲むビールを想像して乗り越えている」と明かす。

 完走の達成感やその後の楽しみを想像しながらベストを尽くそう!

水分補給 こまめに

宮城保俊さんが愛用する溶かして作るアミノ酸飲料(右)と塩分補給用のミネラルタブレット

 フルマラソンに初めて挑戦するランナーの中には「水分補給はどうするの?」「脚がけいれんしたらどうしよう?」など疑問や不安を抱える人もいるのではないだろうか。完走のための準備や走行中の注意点などを宮城さんに解説してもらった。

十分な睡眠 朝食も大切

 まずは当日の過ごし方から。午前9時のスタートから逆算して5時間前の起床をお勧めする。前日は早めの就寝を心がけて8時間の睡眠時間を確保しよう。エネルギーを蓄えるために朝食も重要。私の場合は腹持ちがいいお餅の他に、栄養補助食品やカステラを腹九分まで食べる。

 朝食後は軽めのジョギングで体を慣らしておく。スタート前にお手洗いを済ませておくことも走りに集中するために大切。

アミノ酸飲料■ミネラルタブレット摂取

 次に水分補給のポイントを紹介する。「少量をこまめに取る」を意識して、コース各所に設置されている給水ポイントを積極的に活用しよう。運動すると筋肉中のタンパク質が分解され、アミノ酸が失われる。アミノ酸を含むスポーツ飲料は効率的に補給できるのでお勧め。

 塩分補給用のミネラルタブレットは脚のけいれんの予防にもなるので欠かせない。後半に備え、折り返し地点までに摂取しておくことが鍵となる。

脚けいれん→ストレッチが効果的

脚がけいれんした際にお勧めの縁石を利用したふくらはぎの筋肉やハムストリングを伸ばすストレッチ=13日、那覇市の奥武山運動公園

 最後に、コース後半では筋肉疲労やミネラル不足などで脚がけいれんすることも考えられる。

 その場合、まずは無理をせずにペースを落とす。それでも治らない時は歩き、立ち止まってストレッチする。道路の縁石に片脚のつま先を乗せて、かかとを下げた状態で上半身を曲げていく。ハムストリングが伸びるのを感じるところで固定すると効果的。ふくらはぎの筋肉やハムストリングを重点的に伸ばして対処しよう。

演奏でランナー全力応援 小禄高校吹奏楽部

スタートやゴール盛り上げる

第39回NAHAマラソンを盛り上げる県立小禄高校吹奏楽部の生徒たち=14日、同校

 県立小禄高校の吹奏楽部は2011年から計11年間、開閉会式やスタート、ゴール地点で演奏を通して大会を盛り上げている。部長の髙良友菜さん(2年)は「一生懸命走るランナーの気持ちに応えて全力で応援する」と目を輝かせた。

 同部は地元のイベントなどに積極的に出演しており、地域から愛されているという。手を振ってくれるランナーもおり、顧問の富田亮さん(35)は「生徒たちは大会の雰囲気を楽しみながら演奏している」と振り返る。

 披露するのはZARDの「負けないで」やアニメ「ワンピース」の主題歌「ウィーアー!」など幅広い世代から愛される名曲だ。柔らかな音色で奏でる応援ソングの数々はランナーの背中を押すだろう。

 昨年に引き続き参加する町田芽吹さん(2年)のお気に入りの楽曲は「ヤングマン」。「演奏に合わせてみんながYMCAポーズをしていて一体感がすごかった」と話した。

 髙良さんは「大会は自分にとってもモチベーションになっている。聴いている人にパワーを与えたい」と気合を入れた。(社会部・西平光葉)

「ロールケーキ」 走る力に 南風原津嘉山 ケーキの店・デュゥオ

千人分提供 大人気で行列も

ケーキの店・デュゥオの與那覇政儀店長=10日、南風原町津嘉山の同店

 南風原町津嘉山の「ケーキの店・デュゥオ」は約20年前から沿道での応援と、約千人分のロールケーキを食べやすいサイズにカットして提供し続けている。店長の與那覇政儀さん(72)は「ランナーにありがとうと言ってもらえるのが一つの楽しみ。おいしく食べて完走を目指してほしい」と笑みを浮かべた。

 店は1995年に開店。NAHAマラソンコースの7キロ地点に位置する。津嘉山で取れたカボチャを使用した津嘉山ロールは老若男女問わず評判だ。

 当初は麦茶の差し入れをしていたが、ランナーから冗談交じりで「ケーキを出してほしい」と要望を受け、配ってみると列ができるほど大人気になったという。一度通り過ぎてケーキを食べに戻ってくる人もいるそうで、長いコースを走り切るためのランナーの励みになっている。

 大会前日からケーキを仕込み、当日は沿道での応援と店の営業で大忙し。與那覇さんは「店のモットーは地域に愛されること。『マラソンの時も楽しみにしているよ』と声をかけてもらえるのはうれしい。ことしもおいしいケーキを作るぞ」と力を込めた。(社会部・西口優子)

高低差の図

写真を拡大 高低差 写真パラダイスでは、第38回NAHAマラソンに参加したジョガーの写真約42万枚を公開中!ぜひご覧ください。

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