ワールドシリーズ連覇を果たしたドジャースが3日朝、ロサンゼルスに凱旋(がいせん)しました。2日の第7戦を改めて松坂大輔さんと振り返っていきます。
激闘を乗り越えつかんだ世界一
ビシェットにスリーランホームランを打たれた大谷翔平 この記事の写真は13枚先発は中3日での登板となった大谷翔平選手(31)でした。ところが、3回でした。ブルージェイズの4番・ビシェット選手(27)にスリーランホームランを打たれ、降板となります。
追いかけるドジャースは1点差まで迫り9回、ロハス選手(36)の土壇場での一発で同点に追いつきます。
前日の第6戦に続き第7戦も登板した山本由伸その裏、5番手・スネル投手(32)がサヨナラのピンチを招き、マウンドに上がったのは山本由伸投手(27)。前日の第6戦、6回96球を投げてのマウンドでした。
松坂さん「本当に気力を振り絞ったマウンドだったと思います。ドジャースの守備、(交代で入ったセンターのパヘス選手の)球際の強さがすごかったです」
そして延長11回、山本投手とバッテリーを組むスミス選手(30)の一発でついにドジャースが勝ち越します。
その裏、サヨナラのピンチを背負った山本投手。内野ゴロをベッツ選手が2塁を踏んで1塁へ!ドジャースが球団史上初のワールドシリーズ連覇を達成しました。
MVP山本由伸 世界一へ導く活躍
ワールドシリーズMVPに輝いた山本由伸 ロバーツ監督「山本はGOAT(史上最強)だ!」
MVPには、文句なしで山本投手が輝きました。
シリーズ初登板は第2戦。4回以降、1人のランナーも許さず完投勝利。ドジャースに1勝目をもたらします。
その2日後、延長18回に及んだ第3戦では、ブルペンで投球練習を始めます。
山本投手「こういう試合で投げられるように、何年も練習してきたので」
この行動にチームメートが応えました。
その後、2勝3敗と後がなくなり託された第6戦。大一番でも勝利を手繰り寄せ連覇の夢をつなぎます。
そして2日、ドジャース4勝のうち実に3勝が山本投手。235球を投げ抜き、2年連続の世界一に導きました。
広告 山本を支えたトレーナーの存在山本を支えたトレーナーの存在
山本由伸投手と矢田修トレーナー現代における野球界の常識を覆した山本投手の連投。それを可能にしたのは、山本投手をプロ1年目から支える矢田修トレーナー(66)の存在です。
山本投手「(前日先発した後)矢田先生に治療してもらって、起きて球場に来る前にホテルで治療してから、練習してみたらすごく感覚が良くて、気づいたらマウンドにいました」 矢田トレーナー
「僕60歳過ぎているけど、素直に聞いてくれます。よくできた孫なんで」 二人三脚で唯一無二の調整法を作り上げた
山本投手と矢田トレーナーは二人三脚で、唯一無二の調整法を作り上げていました。連投で最も気がかりなのは、ひじや肩への負担など「けがのリスク」です。
矢田トレーナー「普通の運動論からいうと、連投で状態が良くなるのは考えにくい。投げ方とか筋力に頼るから、次の日動かない。山本はそれじゃないものを求めて投球しているので。確かに疲れているけど。いろんなことやってるうちに、きょうボール良いですよねって状態でした」 やりを使った「ジャベリックスロー」
けがのリスクを減らすため、日々のトレーニングで欠かさず取り入れているやりを使った「ジャベリックスロー」。これも矢田トレーナーが考案したメニューです。
2020年の山本由伸投手5年前のインタビューでは、山本投手はこう話していました。
「1年目は5イニング投げたら腕パンパンで、すぐひじにきていたので。それを変えないといけないなと思って、やり投げだったり、もっともっと体を使って投げる練習を始めて、それで長いイニングを投げられるようになりました。今まで誰もいなかったと思うので、かなり否定された。でも、矢田トレーナーを信じていたので。変えなくて良かった」 「まだまだ成長過程にある」誰も取り入れなかった調整法で手にした世界No.1の座。それでも、矢田トレーナーは山本投手について、まだまだ成長過程にあるといいます。
「来シーズンには皆さんが『おー!』っていうボールが完成すると思います。1つの球種を作るのに2年くらいかける。山本の場合は、こんなボール投げたいって言ったら、それ投げるための体作りをする。体の中で必要な要素はこういうことだから、それを身につけたらそのボール勝手に投げられる」 山本投手「1軍で5回投げてパンパンだったところから、翌日でも投げられるようにならないとダメだと、矢田トレーナーに言われながら、そういうところを目指してやってきたので。矢田修という男がどれだけすごいかを証明できた」 広告 松坂大輔が見たワールドシリーズ
松坂大輔が見たワールドシリーズ
松坂大輔改めて松坂さんに聞きます。ワールドシリーズ4勝のうち3勝が山本投手でした。
「先発投手が4勝のうち3勝はなかなかない。確率的に考えてもかなり低いと思います。3戦目の延長戦でも、もし投げて勝ってたら1人で4勝する可能性もあったのですごかったです」今回、山本投手の連投が注目されたと思いますが、松坂さん自身も日本シリーズで連投された経験があると思います。改めて今回はどう見ましたか?
「投げた直後でしたし万全じゃないなかで、気持ちでマウンドに立っていたと思います。握力が戻りきる前に投げていたので、それもきつかったと思います。体調のきつさでいうと、風邪をひいた時って関節とか体が重だるくなるじゃないですか。その状態で投げていると考えてもらえたら分かりやすいかもしれないです。それぐらいの体調だったと思います」 先発したその日の夜は普通に寝られるもの?第6戦で先発して勝って、それだけの疲労感もあると思いますが、そもそも先発したその日の夜は普通に寝られるものなのでしょうか?
「これに関しては、人によるかもしれないです。興奮して寝られない人もいるし、疲れてぐっすり寝られる人もいるし。その日の試合内容によるかもしれないです。気持ち良くベッドに入る場合もあるし、そうじゃない時もあるし」松坂さんは?
「僕はあまり勝ち負け関係なく、ナイターの時は寝られなかったので、結構朝まで起きてました」 11回裏のピンチはどう見ていた?11回裏を振り返ると、ワンアウト3塁からフォアボールで1人出してワンアウト3塁1塁。あのピンチはどう見ていましたか?
「ドキドキはしましたが、ピンチを迎えても表情を見ていると落ち着いていましたし、普段通りというか、ピンチを迎えても落ち着いている山本投手だったと思います。ただ、当たっているカーク選手のところだったので、最悪同点まではOKという気持ちの余裕もあったのかなと、勝手に見ながら思ってました」 勝負をギリギリで分けたところは?ブルージェイズも見ていて、相当チーム力が高いし強いなと思いましたけど、2つのチームの違いというか、勝負をギリギリで分けたところはどこなんでしょうか?
「ブルージェイズはタイミング悪く、スプリンガー選手のけがだったり、ビシェット選手のひざの状態だったり。ビシェット選手のひざの状態がいつも通りであれば、タイムリーで帰ってこられた場面もあったので、そういうちょっとした運のなさというか、そういうところも差を生んだのかなと思いながら見ていました」 広告 優勝のポイント スター選手以外の活躍優勝のポイント スター選手以外の活躍
ドジャースWS連覇の要因は?そうなると、改めてドジャースが連覇できた要因は?
「大谷選手以外の選手たちが奮起したシリーズだったなと思いました。スター選手以外が活躍、本当に頑張ったシリーズだったと思います」起用された選手たちが采配にどんどん応えたシーンがたくさん見られました。
「そのなかでも、トライネン投手とバンダ投手は勝っても負けてもずっと投げてました。この2人の貢献度は本当に大きかったと思います。結果としては思ったようなものは出なかったかもしれませんが、いつも毎日とにかく肩を作ってましたから」こういう選手がいてこその世界一だった?
「間違いないです。この2人の存在も忘れないでほしいです」(「報道ステーション」2025年11月3日放送分より)
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