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ミラノ・コルティナオリンピック開催まであと70日となりました。今週水曜日にギリシャでオリンピックの採火式が行われました。聖火リレーは来週から始まります。

2つの都市で行われる史上初の五輪 この記事の写真は14枚

今回、ミラノ・コルティナ2つの都市で行われる史上初のオリンピックとなります。大きく分けると4カ所で競技が行われますが、ミラノからコルティナまで松岡修造さんが車で行ったところ、なんと5時間かかりました。

この2都市で行われるオリンピック。では一体、開会式はどうやってやるのか。この時期にはまず聞けない話を聞くことができました。

初の共同開催 背景に経費の膨張

今回世界中が注目しているのは、初めてオリンピックが2都市で行われるということです。ミラノ・コルティナオリンピックイタリアの現状を取材します。

複数都市による共同開催。これがオリンピックの新しい形です。

ミラノ

開催地となるのはファッションの発信地、ミラノ。もう1つの開催都市がミラノから車で5時間。世界遺産北イタリアのアルプス山脈に囲まれたコルティナダンペッツォです。

コルティナダンペッツォ 松岡さん
「コルティナダンペッツォに来ました。ミラノと違い、景色が違います。自然を感じるオリンピックになります」 イタリア初の五輪が行われた

実は、この山岳都市はイタリア初のオリンピック、コルティナダンペッツォ大会(1956年)が行われた歴史ある場所なんです。

問題視されている開催経費の膨張

ではなぜ、単一都市ではなく2都市での共同開催となったのか。背景にあるのは問題視されている経費の膨張です。

国際オリンピック委員会は持続可能な大会を目指しルールを改定。共同開催を可能にしたことで負担軽減を目指しています。

新設する会場は1割程度

そのため、新設する会場も1割程度。工事ラッシュとはほど遠い景色です。

広告 開会式の演出は? テーマは「ハーモニー」

開会式の演出は? テーマは「ハーモニー」

総合演出を務めるマルコ・バリッチさん

共同開催ではどんな開会式になるのか。その全容を握る人物が、極秘プランの一部を明かしてくれました。総合演出を務めるマルコ・バリッチさん。数々のオリンピックに携わってきたイタリアの演出家です。

トリノオリンピックではプロデューサーとしてオペラを融合させた開会式を手掛け、世界にその名が広がりました。

「今大会の開会式テーマは調和」 松岡さん
「発表された今大会のテーマは『ハーモニー』」 マルコさん
「『ハーモニー』は日本語だと?」 松岡さん
「ハーモニーは『調和』です」 マルコさん
「今大会の開会式テーマは調和」 「すべてを2カ所で準備する」 松岡さん
「どんな開会式で何を伝えたい?」 マルコさん
「2つの聖火台を用意する。コルティナとミラノに聖火台がある」 松岡さん
「2つのオリンピックが同時に行われる」 マルコさん
「2カ所で国歌、2カ所でオリンピック賛歌、すべてを2カ所で準備する。さらに言うとイタリア人は混み入ったことが大好きで、選手たちには、それぞれの競技エリアにいてもらう」 4つの競技エリアを同時に選手行進の舞台にする

イタリア好みの複雑な仕掛けとは…。オリンピックの開会式では参加する国と地域が1つの場所に集まり選手団を紹介します。

パリオリンピックでは初めてスタジアムを飛び出し、セーヌ川を舞台に船を使った演出で世界を驚かせました。

変わって、今大会は遠く離れた4つの競技エリアを同時に選手行進の舞台にするといいます。

「ファッションショーを想像してほしい」 松岡さん
「パリ五輪ではセーヌ川と船が使用された」 マルコさん
「難しいのは、4カ所の動きをそろえること。ファッションショーを想像してほしい。モデルが自分の前を歩いていく。選手のファッションショーのようなこと。異なる会場でも同じように。それに面白いのは日本やオーストラリア、中国、ドイツ、イタリアなどは、たくさんの選手が出場するが、エクアドルは1人だけ、ニューカレドニアは3人だけ。どこにいるか把握しないとテレビ中継が混乱してしまう」 松岡さん
「すでに脳内がハーモニーを奏でている」 マルコさん
「入場行進を調和させるのは複雑」

なかなか耳にできない核心部分も明かしてくれました。

「開会式ではレオナルド・ダ・ヴィンチとジョルジオ・アルマーニを紹介」 マルコさん
「イタリアのファンタジーと美しさ。イタリアにはデザインやファッション、イタリアンにファンタジーがあふれている。イタリアの生活には家具や絵画、建築に美しさがあふれている。これこそがイタリアだと世界に示したい。開会式では、その一つとして博学者のレオナルド・ダ・ヴィンチ、ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニを紹介します」

スーツの概念を刷新したファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニ。多くの分野で才能を発揮した天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。イタリアが生んだ巨匠の感性が開会式に盛り込まれます。

大切なのはファンタジーだけじゃありません。

「注目すべきは選手」 マルコさん
「開会式の主役は選手であるべき。誰が来場して、誰が歌うのか注目されるが、注目すべきは選手」 松岡さん
「開会式をきっかけに新しい調和が生まれる」 マルコさん
「世界にはハーモニーが必要。世界には調和が必要」 松岡さん「少しでもつながりというものを感じにいきたい」 徳永有美キャスター
「イタリア好みの複雑さってたまらないですね」 板倉朋希アナウンサー
「それにしても、マルコさんこんなに話しちゃって大丈夫なんですかね」 大越健介キャスター
「普通秘密にしません?」 松岡さん
「まず、この方と話ができたことが驚きと、こんなに話していいんですかと。最もマルコさんが言ってきたのは、オリンピックは世界に最も大事なメッセージを伝える場所なんだと。調和というものを通じて伝えたいのは、平和。そして、1つになるというメッセージ。そこで、世界中の選手が1つになる仕掛けを作っていると。イタリアはジェスチャーをすることがすごく多いそうです。イタリア式のジェスチャーを通して、選手を1つにさせていく仕掛けを考えていると。じゃあ、そのアイディアはどこから生まれたんですかと聞いたら、東京オリンピックの時にピクトグラムがありました。あれを見て、言葉を超えた交流ができるんだと、そこがヒントだと言っていました」 大越キャスター
「複数箇所でやるわけで、それが1つに調和する。それってある意味、今風でもあるし現代のテクノロジーも使うだろうし伝統的なイタリアの方が好きなファンタジーもある」 ヒロド歩美キャスター
「ファッションショーという表現もすてきでしたね」 松岡さん
「聞いてて大事だなと思ったのはAIに僕は頼らないよと。人間のつながりが大事なんだ。何か、僕はこのオリンピックを通して少しでもつながりというものを感じにいきたいなと思います」

(「報道ステーション」2025年11月28日放送分より)

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