第105回全国高校ラグビー大会が27日、大阪府の東大阪市花園ラグビー場で開幕する。大阪府代表として出場する東海大大阪仰星、常翔学園、大阪桐蔭を紹介する。
東海大大阪仰星

東海大大阪仰星は前回大会、決勝で桐蔭学園(神奈川)に17―40で敗れた。今の3年生たちは、先輩の悔し涙や、相手校の胴上げを目の当たりにした。
「二度とそんな景色を見たくない」。東(あずま)佑太主将(3年)はそう話す。全国制覇には何が必要なのか。メンバー同士のコミュニケーションの強化に重点を置いた。
東主将が練習中に気になることがあれば、全員で集合し、話し合う。「本当に後悔したくない。だから、全部(気付いたことを)言うようにしています」
今季のチームには、突出した能力の選手はいない。だがチームとして、攻撃では多彩な引き出しを持つ。
「ボールに小指がかかるか、かからないか、その微妙なコントロールが必要だった」。湯浅大智監督は、頂点まであと一歩及ばなかった前回大会を振り返った上で、今のチームを「勤勉でコツコツ積み上げていけるメンバーが集まっている。もう一工夫できるチームになれる」と評する。

7年連続25回目の出場だが、初めてシードに選ばれず、27日の開会式後の1回戦で坂出第一(香川)と対戦する。だが、シード校より多く試合ができると、選手たちはポジティブだ。
目指すは4年ぶりの頂点。東主将は「大阪のプライドを見せます」と意気込む。
常翔学園

「走る」「当たる」「押す」。常翔学園の白木繁之監督は基礎の徹底を重視する。試合前などに出す指示も10文字以内とシンプルさを心がける。「ひとことでチームの全員が理解して反応できるのが強いチーム」と考える。
目指すは超攻撃的なラグビー。相手選手に当たり負けない体の強さと、自分がトライを取るという気持ちの強さを選手たちに求める。「1対1で勝たないとラグビーにならないし、トライを取りに行く姿勢がなければ相手を勢いづけることになる」
チームの一番の強みはスクラムやラインアウトなどのセットプレー。夏合宿の練習試合でもセットプレーの強さを生かしたプレーが出て、チームの自信につながったという。
FW陣は古澤晴也選手や橋本和磨選手がスクラムの中心となる。SH元橋直海選手、SO南悠介選手は自分でボールを持って走る力が高く、南選手はキックの精度も高い。バックスでは決定力があるWTB池田大翔選手に期待がかかる。

2年連続43回目の出場。27日の初戦は、14年連続31回目出場の茗渓学園(茨城)が相手だ。前回は準決勝で同じ大阪代表の東海大大阪仰星に3点及ばず敗退して悔しい思いをしたが、白木監督は「まずは初戦に向けてどれだけいい準備をするかだ」と話す。
岡本慶次主将は「スクラムやブレークダウン(密集での攻防)での強さにこだわって練習してきた。前に出るプレーで日本一を目指す」と燃えている。
大阪桐蔭

大阪桐蔭は5年連続19回目の出場。7年ぶりの優勝をめざす。
昨年は、優勝本命とも言われて大会に臨んだ。大会前の1年間、チームは練習試合や公式戦で無敗だったからだ。だが準々決勝で、この大会で連覇を果たす桐蔭学園(神奈川)に14―26で敗れた。
手崎颯志(そうじ)主将(3年)は、その試合でグラウンドに立っていた。「能力の高い先輩たちばかりで、無敗で大会に出た。それでも頂点に立てなかった。花園の高い壁を痛感しました」
新チームになってからの初戦。花園常連の強豪校との練習試合で敗れた。悔しかったし、自分たちのふがいなさも思い知った。
だが、「新チームのスタートで敗北を味わえたことは、僕たちにとって大切な経験でした。チームづくりの土台になったんです」と手崎主将は振り返る。
得点されることを恐れず、それ以上の点を取って勝つ。どんなにピンチでもコミュニケーションを絶やさない。そんな思いで、手崎主将ら4人がリーダー役になって練習メニューなどの議論を重ね、コーチや監督に提案もしてきた。

今大会は大阪代表3チームのうち、唯一シードされた。初戦は30日の2回戦で、光泉カトリック(滋賀)―山形中央の勝者と対戦する。頂点に向け、綾部正史監督は「15人全員がどれだけ粘り強くディフェンスできるか、それがカギだ」と話す。
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