高校ラグビーの近畿大会が開幕。2月14日(土)には1回戦6試合が、翌15日(日)には2回戦4試合が行われて、ベスト4が決定しました。

伝統の固いディフェンスの「天理」 対 終盤まで落ちない走力が武器の「関西学院」

 近畿各府県の代表校が激突した1回戦。前評判の高かった強豪校が順当に勝利を重ねる中で、兵庫県代表の関西学院と奈良の雄・天理の試合は予想どおりの白熱の展開となりました。

 伝統の固いディフェンスと今シーズンは大型選手を揃えたFWに自信を持つ天理と、終盤まで落ちない走力を武器にディフェンスからの切り返しとBK陣の決定力が自慢の関西学院。試合は、序盤から両チームが持ち味を発揮して一進一退の攻防となります。

 先制したのは天理でした。前半19分、FWで圧力をかけて敵陣深くまで攻め込むと、ラインアウトからのモールを巧みに押し込んでHO・金川大翔選手がトライ。ここ数年のチームの強みとしている形から5点をリードします。

 一方の関西学院もすぐさま反撃。直後の22分、攻め込んでいた天理からボールがこぼれたところを素早い反応でカウンター攻撃につなげると、WTB・鴨田直也選手がタッチラインライン際を快走。フォローしたFB・田中智也選手が中央に回り込んでトライ、ゴールも決めて7対5と逆転します。

 関学は、さらに前半のロスタイムに突入した31分、天理ボールのラインアウトからボールを奪って素早く左に展開すると、SH・大西慶選手からタイミングよくパスを受けたCTB・鈴木大裕主将が25m以上を走り切って左隅にトライ。狙いどおりのグラウンドを広くつかった攻撃で12対5とリードをひろげました。

 それでも、FW戦で優位に立つ天理は慌てません。再びFWで圧力をかけて、じわりじわりと関学陣内に攻め込んでいくと、前半ラストの攻撃でSO・工島啓心選手が判断よくスペースをついて右中間にトライ。CTB・有働達平選手が見事にゴールを決めて12対12。同点に追いついて試合を折り返します。

 サイドの変わった後半、再びFWで優位に立って攻め込む天理。しかし、関学の粘り強いディフェンスの前に、大事なところでミスが出てなかなか得点につなげることができません。

 後半12分には、中央22mライン付近で関学のペナルティーを誘ってチャンスをつくりますが、風下も考慮してPGを狙わずにタッチキックからトライを取りに行く選択が実りません。ここでも、関学のプレッシャーの前に大事なラインアウトが乱れてチャンスを逃してしまいます。

 一方、後半はほとんど時間を自陣深くに押し込まれながら、全員が体を張ったディフェンスと抜群の集中力で天理の攻撃をしのいだ関学が、残り時間5分を切ったところでようやく反撃に転じます。関学らしくテンポを上げた攻撃でトライエリアに迫ります。

 しかし、ここは天理が踏ん張りました。試合を決めにくる関学に対して、持ち味のしっかりと前に出るディフェンスで得点を許しません。後半は、両チーム無得点のまま、ついにノーサイド。1回戦注目の好カードは12対12の引き分け。2回戦への出場権は、抽選にゆだねられることになりました。

 そして、抽選の結果、関西学院が2回戦進出。天理は、昨年度の全国高校ラグビーフットボール大会奈良県決勝に続いて、抽選により大会の舞台から姿を消すことになりました。

 抽選の結果、2回戦への出場権を獲得した関西学院・安藤昌宏監督が「2本差までなら勝負になると思っていたが、本当に選手達が、最後まで粘り強くよく我慢してくれた」と話すと、鈴木大裕主将は、「接点が強い相手に対して、ずっと声を出し続けてチームを前に出すことを意識していた。途中苦しい場面もあったが、最後までみんながよく頑張ってくれた。選抜大会にいくという目標があるので、次の試合もしっかりと調整して臨みたい」と決意を示しました。

京都工学院・田中主将「練習でやってきたことを、そのまま試合で出すことができた」

 翌15日は、その2回戦。関西学院は、今大会の開催地となった京都1位でシード校として登場した京都工学院と対戦しました。

 京都の吉祥院公園球技場で行われた2回戦。序盤から地元の大声援を背に、京都工学院がペースを握ります。試合開始から勢いよく関学陣内に攻め込んでいくと、前半7分、SO・小西稜晴選手の裏へのキックに素早く反応したCTB・森田亘瑛選手がトライエリアでボールをおさえてトライ。5点を先制します。

 その後も試合は京都工学院のペース。田中琉翔主将が「練習でやってきたことを、そのまま試合で出すことができた」と振り返ったように、コーチ陣が分析した関学対策を選手たちが確実に遂行していきます。ラインアウト、スクラムといったセットプレーで上手くプレッシャーをかけて、関学にチャンスらしいチャンスをつくらせません。関学の粘り強いディフェンスにトライこそ奪えなかったものの、24分にはPGで得点を加えて、8対0とリードを広げて前半を折り返します。

 後半に入っても、京都工学院の勢いは止まりません。前日の激戦の疲れもあってか、ディフェンスへの対応が遅れ始めた関学に対して、素早くボールを動かしながらチャンスをつくり出していきます。そして後半の3分、CTB・石橋透和選手の突破からLO・服部直生選手がFWとは思えない走力をみせてトライに結びつけると、10分にはFW陣でトライを追加して18対0と、勝負を決定づけたかと思われました。

 しかし、ここから関西学院が執念の粘りを見せます。残り時間が少なくなって行く中でフレッシュな選手を次々と投入して反撃転じると、20分には、FL・長谷川遼選手が、この試合初めてのトライ。さらにロスタイムに突入した31分にも、粘り強くボールをつないで今度は長谷川選手が左中間にトライ、プレッシャーのかかるコンバージョンキックを途中出場の林銀志朗選手が見事に決めて、18対12とワンチャンスで逆転可能な6点差まで詰め寄ります。

 ラストワンプレー、自陣の深い位置から逆転を狙って攻撃を仕掛けていく関西学院。しかし、落ち着いて規律を守りながらプレッシャーをかけてくる京都工学院の前に、なかなか危険なエリアを脱出することができません。

 最後は、トライエリアの中で関学のパスが乱れたところを、京都工学院のFL・田中琉翔主将が素早い反応でボールをおさえてダメ押しのトライ。ゴールも決めて25対12とした京都工学院が、粘る関西学院を振り切りベスト4進出を果たしました。

 大島淳史監督が「BK陣に決定力がある関学さんに対してセットプレーでプレッシャーをかけ続けることができたが勝因。今年は、『もう一度、強い赤黒(アカクロ)の時代をつくる』その年だと思っている」と語った京都工学院。京都1位のプライドともに、地元での優勝にむけて、まずは第1関門を突破です。

報徳学園・前里主将「頭から突っ込むぐらいの勢いでいこうと」

 そのほかの3試合、光泉カトリック(滋賀)にトライを許さず大差で勝ち切った大阪桐蔭、1回戦の京都成章(京都)に続いて御所実(奈良)に付け入る隙を与えず、強豪校相手にしっかりと結果を残した東海大大阪仰星と、大阪勢が強さを見せる中で、第3試合では、兵庫の報徳学園が大阪の常翔学園相手に、切れ味抜群の攻撃力を発揮しました。

 接戦が予想されたこの試合、序盤は常翔学園が持ち味の縦への推進力をみせて押し気味に試合を進めます。FW周辺で報徳学園を確実に押し込んでいくと、14分にSO・小田楓選手がトライエリアにけり込んだパントキックを見事にキャッチしたCTB・井元壮大選手がトライ。ゴールも決めて7点をリードします。

 しかし、ここから報徳学園が狙い通りの戦いぶりで反撃します。「まずは、ディフェンスで勝とうと試合前に、(みんなで)決めていた。頭から突っ込むぐらいの勢いでいこうと話をしていた」と前里歩夢主将が振り返ったように、低く鋭いタックルを連発して常翔学園の攻撃を食い止めると、21分には、FB・梅津亮介選手が巧みなステップでトライラインに迫った後、最後はHO・難波竜彰選手が右中間にトライ。ゴールも決めて7対7の同点に追いつきます。

 さらに、後半開始直後の1分、BKで攻撃を仕掛けてきた常翔学園に対して強烈なタックルでミスを誘うと、ボールを拾い上げたWTB・林悠椰選手がそのまま20m以上を走り切ってトライ、12対7と逆転に成功しました。

 このトライで試合の流れを引き寄せた報徳学園は、さらに9分、再び鋭いディフェンスで常翔学園の反則を誘って敵陣深くまで攻め込むと、今度はFW陣が奮起してPR・中村海聖選手がトライ、確実にゴールも決めて19対7として完全に勢いに乗りました。その後も着実に得点を加えた報徳学園。40対14の大差で、難敵・常翔学園を下してベスト4進出です。

 1回戦、2回戦の結果はご覧のとおり、ベスト4進出を決めた4チームは選抜大会への出場権を獲得しました。準決勝は2月21日(土)。第1試合は、注目の大阪対決となりました。

 1回戦、2回戦と実力校相手に力強い戦いぶりをみせている東海大大阪仰星の善住竜輝主将は、同じ大阪のライバルとの対決を前に、「今年は、一歩一歩積み重ねるということを意識してやってきている。『想う』というキーワードをもとに、ひとりひとりが責任を持って自分で判断して実行する。次の試合も一つ一つのことをしっかりと意識して戦っていきたい」と語りました。

 選抜大会への残り2つの出場権をかけた代表決定戦は、準決勝の後、同じ京都市左京区の宝ヶ池球技場で開催されます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。