WBCの“歯がゆい問題”を野球史研究家が解説

 3月5日、いよいよWBCが開幕!2月14日から侍ジャパンのキャンプが始まっていて、世界一を目指し盛り上がりを見せています。

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 改めてこのWBCとはどんな大会なのか?大会開催の背景には、スポーツ間での「人気獲得競争」があるようです。

 また、日本代表『侍ジャパン』の戦略的な取り組みは、実は日本の野球界としては画期的なものだといいます。一方で、専門家によるとWBCには“歯がゆい課題”も…名城大学の野球史研究家・鈴村裕輔教授への取材をもとに、WBCの背景について詳しくお伝えします。

WBCは“真の世界一の国”決定戦!?

 WBCは「メジャーリーガー」が本格的に参加する“唯一”の国際大会。そのため、「真の野球世界一の国」を決定する大会だと言えます。

WBCとオリンピックを比較してみると…

◆WBC(2006年~、今年で6回目)

 開催時期:シーズン開幕前
 出場選手:メジャーリーグも参加
 主催:MLB(大リーグ機構)&MLB選手会

◆オリンピック(2028年ロス五輪の追加競技)

 開催時期:シーズン中の夏
 出場選手:限定的 ※ロス五輪はメジャーリーガー参加へ向け協議中
 主催:IOC(国際オリンピック委員会)

 WBCは国内のシーズンの開幕前に行われるためトッププロの選手が参加可能ですが、オリンピックはシーズン中に大会があるため、参加が限定的となります。また、ロスオリンピックでは野球が追加競技として一度復活しますが、その後のオリンピックで正式競技となるかはまだわかりません。

 また、国際機関であるIOCが主催するオリンピックに対して、WBCは国際的な組織が主催しているわけでなく、MLBと選手会も一体となってアメリカ中心で主催されていることも大きな特徴です。

アメリカで深刻化する野球離れ

 そもそもはWBCは、MLBが野球人気を復活させるために始めた大会です。2010年代の開始を目指していたところ野球人気の低迷が深刻化し、少しでも早く開催をしようということで2006年に早まったという経緯があります。

 アメリカの野球人気の低下を示す調査があります。

 エコノミスト誌の調査によると、アメリカ国内でのスポーツのファンシェア(%)は以下の通りです(「FOXスポーツ」の報道より)。

1位:36% アメリカンフットボール
2位:17% バスケットボール
3位:10% サッカー
4位:9% 野球

 アメリカンフットボールやバスケットボールの人気が高まっていることも背景にありますが、野球の人気が必ずしも高いとは言えない状況が現れています。

 アメリカでは、野球の“客離れ”の要因となったできことがいくつかあるようです。

人気低迷の要因は「ストライキ」「ドーピング問題」か

 まず1つ目は、ストライキです。

 野球界では、サラリーキャップ導入(チームの総年俸の上限)をめぐり、1994年8月から1995年4月までの200日間にわたってストライキが行われました。年俸の上限設定は戦力の均衡を保とうとする意図で検討されたものだったということですが、選手側から見ると給料の上限が決まってしまうのはマイナスで、大反対する動きがありました。

 2つ目がドーピング問題です。

 メジャーリーグでは1990年代~2000年初頭にドーピング問題が深刻化。1998年のサミー・ソーサ選手とマーク・マグワイア選手のホームラン王争いにも禁止薬物の使用疑惑があります。

 また、野球人気失速のそもそもの要因はルールが複雑で、テンポが遅いということが言えるかもしれません。鈴村裕輔教授によると「ラジオや新聞の時代は野球がぴったりだった」ということですが、時代に合わせて変化を迫られています。指名打者制度やピッチクロック、ベースの大型化などはこうした背景で導入されてきたものです。

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