スペイン首都マドリードで14日に開催された自転車ロードレース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」で、パレスチナ自治区ガザの人道危機を訴えるデモ隊がコースに侵入してレースが中止となった。地元当局によると、この日同市内で開かれた抗議デモには10万人が参加したという。

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 ブエルタは、ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアに並ぶ世界最高峰のレースの一つ。8月下旬から約3週間かけてスペインやイタリアなどでも開催されてきたが、イスラエルを拠点にするチーム「イスラエル・プレミアテック」の参加をめぐり批判が集中していた。7日にはパレスチナの旗を掲げた抗議者がコースに入り、他チームの選手2人が転倒する事故も起きた。

 スペイン紙エルパイスによると、レース最終日だったこの日、首都マドリード市内へと向かう約100キロのコースで、デモ隊の一部がゴール付近のフェンスを壊し、コース内に侵入。主催者はレースが中盤にさしかかったところで中止を決めた。

 イスラエル・プレミアテックは安全上の理由から、ユニホームから「イスラエル」の文字が入ったチーム名を外すなどの対応を取ったが、レースがたびたび妨害されてきた。

 スペイン政府はガザでの人道危機が深まる中、ガザの状況をジェノサイド(集団殺害)と呼ぶなど批判を強めてきた。サンチェス首相は14日、自転車レースが中止される前にあった南部マラガでの政治集会に登壇。選手に敬意を示したうえで、マドリードの抗議デモに向かう人々を「正義のために動くスペイン人」と呼んで称賛した。

 22日には国連で、イスラエルとパレスチナが独立した主権国家として共存する「2国家解決」に関する国際会議が開かれる予定で、イスラエルに対する国際的な圧力が強まっている。

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