(17日、第107回全国高校野球選手権大会3回戦 東洋大姫路3―2西日本短大付)

 東洋大姫路のエース右腕・木下鷹大(ようた)はなぜか、右スパイクの靴ひもがよくほどける。「球持ちの良い投げ方だからかな」

 1点リードの九回2死、安打を浴びた。ここで間をとり、靴ひもを結び直した。数十秒かけて、丁寧にちょうちょ結び。中軸との対戦へ心を整えていたのかと思いきや、「特になんも考えてなかったです」。

 よく「マイペースやな」と突っ込まれる。

 ご飯はよくかんで食べるから、遅い。仲間たちが食後のデザートに手をつけるころにまだ、サラダをむしゃむしゃ。「ちょっとシャワー」と言って1時間も浴び、同じ部屋の仲間を驚かせた。

 そんな周りに影響されない性格は、落ち着きの裏返しでもある。この日は疲労を考慮してベンチスタート。三回、1点先取され、なお2死一、二塁で出番が回ってきた。左前に適時打を浴びたが、「打ち取った当たりだったので」。冷静に次の打者を仕留めた。

 味方の強力打線は苦しんだ。五回に得た1点のリードを守る戦いだった。「追加点を願うわけでもなく、とにかく自分の球を信じた」。最後の打者を143キロ直球で仕留め、14年ぶりの8強進出に導いた。2度の3者連続を含む、計8奪三振の力投だった。

 のんびりしているように見えても、心は熱い。この日は、甲子園初登板の森皐葵が三回途中まで踏ん張った。緩い変化球を多投したおかげで、自分の速球が生きた。「緊張したはずだけど、粘ってくれてうれしかった。だから、最後まで投げてやろうと思えたんです」

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