不動産協会の記者懇談会で説明する吉田理事長(右から2人目)ら(19日、東京都千代田区)

不動産大手が加盟する不動産協会(東京・千代田)の吉田淳一理事長(三菱地所会長)は19日、東京都千代田区がマンションの転売規制特約の導入を同協会に要請したことに対し、「実効性に欠ける」との見解を示した。一方で、協会として投機的な短期転売を抑制する取り組みについては検討する方針を示した。

区は7月、不動産協会に対し、市街地再開発事業で販売するマンションについて購入者に引き渡しから原則5年間の転売を禁じる特約条項を導入することを要請した。価格高騰に対する懸念から投機目的の取引を防ぐ狙いがあった。

協会側は19日に開いた記者懇談会で、区が求めた転売禁止特約について「契約を解除して引き渡しをしないという履行を担保できる手段が事業者にない」と説明。物件を引き渡す前までしか対策を講じられないとの認識を示した。私的財産権の処分に関する権利に制限をかけることへの慎重姿勢も示した。

吉田理事長は「転売禁止を実行するには事業者側にとって多大なコストや期間を要し、リスクを負うことになる。現実的ではなく、実効性に欠ける」と強調した。

ただ、協会として投機目的の短期転売への対策導入は検討する方針を明らかにした。国土交通省が日本に居住していない所有者の実態を、不動産の登記情報で調査している結果を参考にする。

協会側は「調査結果が明らかになれば、できる限り早いうちに投機的な短期転売を抑制する取り組みについて発信したい」とし、加盟社に対策を呼びかける方針だ。

不動産経済研究所が発表した8月の東京23区の新築マンションの平均価格は、前年同月比1%減の1億3810万円と依然高止まりしている。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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