連合=東京都千代田区で2022年2月23日、曽根田和久撮影

 連合の春闘方針を検討する有識者委員会(玄田有史委員長)は19日、毎年の春闘で「2%の物価上昇」を基準に要求水準を組み立てるべきだとの提言をまとめた。連合は来年の春闘方針に提言を反映する考えだ。

 近年の春闘では、連合集計で平均賃上げ率が2年連続5%超と高水準が続く一方、物価高に賃上げが追いついていない。このため連合は5月、春闘の課題整理のための有識者委を初めて設置。賃上げ要求の目標設定などについて議論を続けてきた。

 提言は、これまでの要求目標が過去の物価上昇率を参照して設定されてきたことから、賃上げが物価上昇の後追いとなっていると指摘。「重要なのは今後1年のインフレ率と労働生産性の見通しだ」として、日本銀行が掲げる「2%程度の物価上昇」の目標をベースアップ要求の基準にすべきだとした。その上で、想定外の物価上昇で実質賃金が低下した場合、低下分を次回交渉時に補塡(ほてん)する「キャッチアップ条項」を設けることも提言した。

 連合の芳野友子会長は、提言を受けた19日のシンポジウムで「賃上げの流れを定着させるため、提言を参考に知恵を絞る必要がある」と語った。【塩田彩】

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