協会としての一斉調査の必要性を否定した生命保険協会の高田幸徳会長(住友生命保険社長)=東京都千代田区で2025年9月19日午後1時6分、山口智撮影

 日本生命保険の社員が出向先の社外秘情報を不正に持ち出していた問題で、生命保険協会の高田幸徳会長=住友生命保険社長=は19日の定例記者会見で「事態を大変重く受け止めている」としつつ「業界全体の問題とは現時点では考えていない」と述べた。協会としても一斉調査を行わず、各社の自主的な対応に委ねる。

 高田会長は、協会として一斉調査を行わない理由について「(銀行などの)代理店との関係は生保各社でさまざま。統一的な基準での調査は難しく、各社が自律的に調査することが望ましい」と説明した。個人情報の流出が現時点で確認されていない点も理由に挙げた。

 問題の発端となった日本生命では2019年からの6年間で604件の不正持ち出しが確認されている。日生は現時点で組織的関与を否定している。第一生命保険でも出向者が販売代理店の販売シェアを許可なく持ち出す事例が判明しており、状況を確認中だ。

 また、明治安田生命保険も出向者に不正な持ち出しがないかどうか8月中旬から調査を開始している。

 高田会長は19日、住友生命でも既に調査を開始したと明らかにし、業界大手4社全てが不正持ち出しの有無を調べている。【山口智】

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