
電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は19日の定例記者会見で、政府が見直しを進める洋上風力事業の支援策について「予測不可能な事態に対応するべきだ」と述べた。洋上風力はインフレや円安で初期投資が膨らんでおり、三菱商事連合が事業撤退を決めた。採算悪化の懸念が高まるなかで、柔軟な支援設計を求める。
中部電力はグループ会社のシーテック(名古屋市)が三菱商事と共同で千葉県沖と秋田県沖の3海域で進めてきた洋上風力事業から撤退を決めた。林会長は撤退の背景について、資材高や人件費の高騰で建設費が当初想定の2倍以上に上ったことを挙げた。21年の公募入札時点では「当時のコストや技術開発の進展、リスクなどを織り込んで適切な検討をした」とした。
政府は洋上風力事業者が採算確保しやすいように、すでに落札した事業者への追加支援などを年内にもまとめる方針だ。事業者からは売電価格の補助や固定資産税の減税を求める声が上がっている。
林会長は「(洋上風力は)大規模で長期にわたる事業で環境変化のリスクは大きい」と指摘。その上で「(物価高や金利の上昇など)当初想定できない事象が起きた場合にどう乗り越えるべきなのかを国と一緒になって考えていきたい」と話した。
【関連記事】
- ・三菱商事が撤退、どうなる洋上風力 再公募へ公的支援制度も焦点
- ・三菱商事の洋上風力撤退「影響あり」72社 秋田県の緊急調査
- ・千葉県知事、銚子洋上風力の早期再公募を経産相に要望

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。