金融庁は18日、フィンテック企業のJPYC(東京・千代田)を資金移動業に登録したと発表した。同社は国内で初となる法定通貨に価値が連動する円建てのステーブルコイン発行を検討しており、発行には当局による業者登録が必要だった。
JPYCも同日、資金移動業への登録が完了したとして「幅広い利用シーンに対応可能なステーブルコイン『JPYC』の発行を開始する」とコメントした。
ステーブルコインはブロックチェーン(分散型台帳)の技術を使い法定通貨と価値が1対1になるよう設計された決済手段だ。金融庁は2023年に改正した資金決済法で銀行と信託会社、資金移動業者に限って発行を認め、流通を担う業者も電子決済手段等取引業(電取業)として監督対象に加えた。
これまで国内で流通するステーブルコインは米サークル社が発行するドル建てのUSDCに限られている。円建てでの発行を目指して資金移動業の登録を受けるのはJPYCが初めてとなる。
発行する業者は、発行するステーブルコインと同額を現預金や債券などで保全する必要がある。JPYCはステーブルコインの発行に向けた準備に入っており、9月にも販売を始める見込みだ。
JPYCは同日「国内外における日本円建てステーブルコイン事業の中核的存在を担い、透明性や低コスト送金といった特性を生かし、効率的なデジタル金融イノベーションを推進する」とのコメントを出した。
ステーブルコインの名称は「JPYC」。日本円や預金、国債を裏付け資産とし「1JPYC=1円」で交換できる。代表的なブロックチェーンであるイーサリアムなど3種類のチェーンでの発行を予定しているという。
個人による海外送金や法人決済などによる利用を想定している。投資家は分散型金融(DeFi)と呼ばれるブロックチェーン上の資産運用サービスへの活用もできる。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。