
テレビ朝日は25日、東京・有明に複合型エンターテインメント施設「TOKYO DREAM PARK(東京ドリームパーク)」を2026年3月27日に開くと発表した。多目的ホールや劇場を備え、同局の人気番組やアニメ「ドラえもん」といった知的財産(IP)を活用したイベントや音楽フェスを開催する。放送事業に依存しない新たな収益源の確立をめざす。
発表会でテレビ朝日の早河洋会長は「テレビ朝日の65年余りの歴史のノウハウを集め、さらなる飛躍としたい」と意気込んだ。
東京ドリームパークは地下1階〜地上9階建て。目玉となる最大5000人収容の多目的ホールは最新の立体音響設備を備える。音楽番組やイベントの制作ノウハウ、東京・六本木にある劇場「EX THEATER ROPPONGI(EXシアター六本木)」での運営経験を生かし大規模なイベントを開催する。グッズ販売による収入や企業からの協賛金なども見込む。

劇場はミュージカルや演劇など上演する演目に合わせて、張り出し舞台や花道といった演出を可能にする舞台構造を備える。座席数は約1500席。こけら落としには、アイドルグループ「NEWS」のメンバーで作家としても活動する加藤シゲアキ氏が原作、脚本を手がける公演を予定する。
生放送や配信ができる屋上広場やテレビ番組と連動した企画展示ができるイベントスペース、飲食店なども併設する。放送とイベント、商業施設を一体で運営する。

テレビ朝日は東京ドリームパークを、中期経営計画で打ち出す「メディアシティ戦略」の中核に位置付けている。同局が持つIPコンテンツの普及やイベントの開催拠点としての役割を担う。
テレビ朝日が施設事業に力を入れる背景には、収益の中心である地上波放送が長期では減少基調であることがある。SNSの普及などにより視聴者のメディアとの接点は細分化している。イベントなどリアルな場で接点を持つことでIPの価値を高める。
東京ドリームパークの近隣には10月に「トヨタアリーナ東京」が開業予定で、約1万人を収容できる大型施設として注目されている。東京の湾岸部は民間主体で都市開発が進み、エンタメと都市機能の融合が一段と進んでいる。こうした流れの中で、テレビ朝日は都市とメディアを結び付けた複合事業体として成長を目指す。
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