東急不動産とニアミーによる賃貸マンションの相乗りタクシー配車サービスの利用イメージ(25日、東京都江東区)

東急不動産は25日、賃貸マンションの住民が主要駅やレジャー施設と自宅を行き来するタクシーを割安で手配できるサービスを始めると発表した。相乗りタクシー大手のニアミー(東京・中央)と組み、10月から都内の2物件で順次無料クーポンを配って利用を促す。他のマンションとの違いを打ち出し、賃料アップを目指す。

賃貸マンションのコンフォリア二葉(同・品川)で10月〜12月に、コンフォリア森下リバーサイド(同・江東)で2026年1月〜3月にそれぞれ実証実験を始める。8月末時点で入居契約済みの住民計255人に、片道の配車が無料となるクーポンを1部屋当たり月4回分配る。

クーポンが使える発着地は物件ごとに6カ所に限定する。コンフォリア二葉はJR品川駅や大井町駅、しながわ水族館(同・品川)が対象。コンフォリア森下リバーサイドはJR東京駅や東京メトロ豊洲駅、東京ドーム(同・文京)との間を行き来できる。遠い場所だと車で約20分ほどかかる。

ニアミーは23年12月から東京都心周辺でタクシー配車サービスを提供しており、事前予約制でエリア内の発着地を結ぶ。他の乗客との相乗りを許容して相乗りが成立すれば発着地が増えて迂回する分、料金は最大で半額程度となる。今回の実証の参加者は相乗りでの申し込みとなる。

東急不動産によると賃貸住宅の居住者は分譲住宅に比べて車の所有率が低く、住民への事前調査では移動サービスへの需要があった。実証を通じ、ドアツードアの移動の便利さを気軽に体験してもらう。クーポン配布に伴う費用は東急不動産が負担する。

同社住宅事業ユニット事業企画グループの重川鈴葉氏は「モビリティー技術で住環境を高められないかチャレンジしたい」と話す。利用者にアンケートを取り、使い勝手の改善や行き先候補の変更、他の物件への展開などを検討する。賃料アップに向けた許容度も探る。

ニアミーは過去に三菱地所や東京建物とも、分譲マンションの住民などを対象に相乗りサービスの実証実験を手掛けた。今回の実証を通じ、賃貸住民の需要を開拓する。ニアミーの徳野創紀・事業開発マネージャーは相乗りサービス拡大によって「近隣で観光や通勤などで利用する人たちにとってもタクシーがつかまりやすくなる」と語る。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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