エア・カナダのストライキに参加する労働組合の幹部ら(18日、トロント国際空港)=ロイター

【ヒューストン=大平祐嗣】カナダ航空最大手のエア・カナダは18日、違法なストライキ活動により約50万人の顧客のフライトがキャンセルされたと発表した。同国政府の指示を受け、労使を仲裁する「労使関係委員会」が客室乗務員に業務再開を求めたものの労働組合はストを継続している。同社は全便運休の影響で2025年12月期の業績見通しを取り下げた。

同社では客室乗務員1万人が所属するカナダ公共労働組合が16日から全面ストに突入している。労使関係委は18日、労組によるストは違法として、同日正午(カナダ東部時間)までにストの撤回宣言を行うように求めた。労組側はこれを無視してストを続けている。

ロイター通信によると、カナダの労働法は経済保護の観点から拘束力のある仲裁を求める権限を政府に与えている。政府はこれまでに労使関係委を通じてエア・カナダと組合の仲裁を促してきた。

カナダ公共労働組合は今回の政府介入による仲裁に対し「不当介入だ」と政府を批判している。客室乗務員の地上での安全業務などが無給状態となっているうえ、会社側が示した賃上げ率は物価上昇率(インフレ率)を下回っていると主張し、待遇改善を求めている。

運休中の同社の航路は1日当たり13万人規模の乗客が利用する。ストが収まっても欠航により航空機と乗務員を従来の計画通りに運用できないため、7〜10日間は一部路線の欠航が継続する見通しだ。

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