JR九州の博多駅空中都市プロジェクト

JR九州は26日、博多駅の線路上にオフィスやホテル、商業施設が入る複合ビルを建設する「博多駅空中都市プロジェクト」について計画を中止すると発表した。建設費の高騰で採算がとれないと判断した。

計画では、駅ビル南側の線路にまたがる約5200平方メートルの敷地に、高さ60メートル程度の複合ビルを建設する予定だった。地上12階・地下1階建てで、2階部分に在来線の線路が通る構造とし、オフィスやホテル、商業施設が入る計画だった。完成は2028年末をめざしていた。

JR九州によると当初、投資額を数百億円程度と見込んでいたが、物価高などで「建設費が2倍弱にふくらんだ」という。計画内容の見直しも検討したが、採算がとれないと判断し中止を決断した。

JR博多駅の駅ビル「JR博多シティ」(福岡市)

建設準備として21年から線路の移動などの仮設工事を進めていた。計画中止に伴い今後、線路を戻す工事にとりかかる。同社は「26年3月期の連結業績に与える影響については調査中」としている。

同プロジェクトは19年に「博多駅空中都市構想」として打ち出し、新型コロナウイルス禍に伴う見直しなどを経て、22年に空中都市プロジェクトと銘打って計画概要を公表していた。

JRグループでは、JR北海道が札幌駅前の再開発事業でタワー棟の完成時期を34年度に延期した。東京都中野区の複合施設「中野サンプラザ」の再開発計画も白紙となっている。建設費の高騰で大型案件の延期や中止が相次いでいる。

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