三菱UFJフィナンシャル・グループは発足20周年を迎える

三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が10月1日、発足20周年を迎える。2つのメガバンクの統合で生まれた国内金融最大手だが、国際金融市場で強豪と伍してきたとはいえない。金利復活をきっかけに、その巨体に依存しない顧客や投資家評価の向上へ、戦略をさらに研ぎ澄ませる。国際的な存在感を再び高める好機だ。

2005年の三菱UFJ発足は曲折の末だった。三井住友FGとのあいだのUFJホールディングスをめぐる異例の大手銀争奪戦は、世間の耳目を集めた。

統合が成就し4メガバンク体制が今の「3」に集約した。だが三菱UFJが金融界で飛び抜けた存在感を発揮しているか。ほかの2メガバンクも追撃に懸命だ。

08年秋の米リーマン危機の混乱下で米ウォール街の有力投資銀行モルガン・スタンレーを持ち分法適用会社にする渾身(こんしん)の経営決断もあった。それも大型出資による利益貢献としては単発にとどまっている感は否めない。

日銀の超低金利政策は邦銀にとって強い逆風だったが、足元では政策修正に伴い一転して利ざやが増えている。三菱UFJの連結純利益は2026年3月期に2兆円の大台到達をうかがう。株式時価総額は30兆円に迫り、トヨタ自動車に次ぐ水準だ。

それでも米中の巨大金融になお見劣りする。それは低下した国力の反映でもある。

とはいえ民間企業として三菱UFJの活路は国内外に残る。

まず重要なのは不可逆的な金融デジタル化の潮流をとらえ、試行錯誤を覚悟しつつ、新施策を繰り出し続けることだ。国内の高齢化、人口減少時代に即した金融サービスにも知恵を絞ってほしい。

旧UFJが身売りを余儀なくされるなど邦銀を苦境に陥れた、かつての不良債権問題は収束した。

バブル崩壊前のように資金は再びたまっており海外買収も有力な選択肢だろう。日本の金融代表として「次の20年」に果敢に挑んでほしい。

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