JTBと鬼怒川温泉旅館組合などによるグルメイベント「鬼怒川ナイトマルシェ〜鬼のごちそう〜」

JTBと鬼怒川温泉旅館組合(栃木県日光市)などによるグルメイベントが始まった。観光客が宿泊先以外で食事する「泊食分離」のプロジェクトの第1弾で、温泉街の夜のにぎわいを取り戻すのが狙いだ。10月5日まで、東武鉄道の鬼怒川温泉駅の駅前広場で毎日実施している。

イベント名は「鬼怒川ナイトマルシェ〜鬼のごちそう〜」。旅館組合に加盟する鬼怒川グランドホテル夢の季(同)の波木恵美社長は「ナイトライフを楽しみたいインバウンド(訪日外国人)が増える中で、夜間営業する飲食店が減っているのが地域の課題」と話す。JTBの知見を生かし、今回のイベントにこぎ着けた。

期間中の午後5〜10時に、栃木県のご当地グルメを提供するキッチンカーを4台程度設置。周辺の旅館や飲食店が持ち回りで入る特設ブースも設け、県産食材をふんだんに用いたディナーボックスなどを扱う。購入客は飲食スペースで食べたり、宿に持ち帰ったりできる。

鬼怒川ナイトマルシェでは地酒や地ビールなども紹介している

鬼怒川温泉は東京から特急列車で2時間ほどの好立地にあるが、相次ぐ旅館廃業で1990年代のピーク時から観光客が半減した。1泊2食付きの伝統的なプランを提供する宿泊施設が多く、JTBはこれが調理人材不足による稼働抑制に拍車をかけ、地域の飲食店が育たず地盤沈下につながっていると分析した。

一般的にインバウンドや個人の旅行では、素泊まりや朝食付き(夕食なし)プランが人気なこともあり、約30施設が加盟する鬼怒川温泉旅館組合など地域の団体に泊食分離プロジェクトを提案した。旅館側は期間中、できるだけ1泊2食付きをやめて、素泊まりや朝食付きプランを提供する。このプランにナイトマルシェで利用できるミールクーポンを1000〜3000円分つけて販売している。

鬼怒川ナイトマルシェで使えるクーポン

期間後半では、秋の夜の街歩きを楽しむイベント「月あかり花回廊」とも連携する。JTBは1日300〜600人が来場すると想定し、収集したデータやアンケートを今後の旅館運営に生かしてもらう。

(横山雄太郎)

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