
総務省統計委員会は29日、コメの出来具合を示す現行の作況指数を廃止し、新たな指標を設ける案を了承した。新指標は名称を「作況単収指数」とし、10アールあたりの収穫量について現在の過去30年の比較から5年の比較に変える。農林水産省は10月中旬に2025年産の新指数を公表する。
近年は猛暑によるコメの品質低下が指摘され、より生産実態に近い数値をはじき出す必要があるとの声が高まっていた。小泉進次郎農相が6月に現行の指数の廃止を表明し、農水省からの統計手法の見直し方針を受け、統計委が議論していた。
現行の作況指数は農水省が毎年、無作為に選んだ全国8000カ所の10アールあたりの収穫量をもとめるところから始める。その数値を、過去30年の傾向値をベースにその年の気象状況や有識者の意見などを反映して算出した「平年収量」と呼ぶ数値で割り、100をかけてはじき出す。
平年収量のもとめ方が複雑で、第三者による検証が難しいことなどが問題視されていた。新たな指標は現行と同様に8000カ所の10アールあたりの収穫量をベースに計算する。過去30年の平年収量でなく、直近5年の数値をもとに割り出す。
ただ、直近5年のうち最も多い年と少ない年を除いた3年分の平均値を算出し、その年の収穫量から割り、100をかけることで示す。極端な豊作や凶作を計算の際に除外する。
農水省が24年産に関して新指標で計算したところ、都道府県別では北海道が現行の103が101に、岩手県が106から103に低下した。
新たな指数をもとにしたコメの出来具合の評価方法は農水省が今後検討する。現在は106以上を「良」、105〜102を「やや良」、101〜99を「平年並み」、98〜95を「やや不良」、94以下を「不良」と5段階で評価していた。
統計委の了承を受け、総務相が近く現行の作況指数の廃止を正式に承認する見通しだ。

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