東京大学の藤井輝夫総長㊧と大和ハウス工業の芳井敬一会長(29日、東京都文京区)

東京大学と大和ハウス工業は29日、住宅都市の課題解決をめざす新たな研究拠点「東京大学住宅都市再生研究センター」を10月1日付で設立すると発表した。大和ハウスは東大が設置する「エンダウメント(基金)」に10億円を寄付し、東大が基金の運用益を使って郊外住宅団地の高齢化やインフラ劣化、気候変動に伴う課題などの解決に向けた研究を進める。

同日、東大で記者会見を開いた。東京大学の藤井輝夫総長は「産業界と手を取り合って社会に資する研究に挑戦できる機会をいただいた。持続可能な社会の実現を先導したい」と語った。また大和ハウスの芳井敬一会長は「住宅団地は空き家増加や建物の老朽化をはじめ地域社会の課題先進地だ。新しい住宅と暮らしのあり方を見いだすプロジェクトになることを期待する」と述べた。

東大は基金の運用益を活用し、新設する住宅都市再生研究センターで常勤の研究者2人を雇う。東大は「年間の運用益を5%(5000万円前後)と想定している」と説明する。学内外の気候や住環境、高齢化など異なる学術成果や産業界の知見を集め、住宅都市づくりに関する国や自治体の政策に貢献することをめざす。

まちづくりの研究が専門の小泉秀樹教授が新センター長に就任する。5〜10年の長期にわたって新しい住宅市街地のあり方を構想し、制度として定着させることをめざす。自己資金の運用益で運営するため、通常の寄付講座と違って新センターの活動期限は設けない。

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