記者会見するソニーFGの遠藤俊英社長(29日、東京都中央区)

ソニーグループ(G)の金融事業を担うソニーフィナンシャルグループ(FG)が29日、東証プライム市場に上場した。初値は205円だった。新株を発行しない「ダイレクトリスティング(直接上場)」という手法を取ったため、公開価格は決めていない。初値は最初の基準となる「板中心値段」の150円を4割弱上回った。遠藤俊英社長は「ソニーのDNAを引き継いで新しい価値を作り出したい」と述べた。主なやりとりは以下の通り。

――初値の受け止めは。

「今回の上場はソニーGからの(要件を満たせば実質的に非課税で分離できる)パーシャルスピンオフで直接上場という形で上場している。特にパーシャルスピンオフは日本初のスキームで、(株価)水準よりも、新しい仕組みのなかで初値がついたということでまずは安心している」

――成長戦略を教えてください。

「2年前に社長に就任したときから『両利きの経営』ということを言っている。ソニー生命保険を中心とした既存の業務を深掘りすることと新しいものを探索することの、進化と探索を両立させる金融グループにならないといけない。そういった成長戦略を作ってきた」

「成長戦略をさらに形のあるものにするために、どこのパーツが足りないのかどこに資金が必要になるのかは足元でも議論している。現時点でどういう形でやっていくのか言明はできないが、走りながら検討していきたい」

――ソニーGとの関係は。

「ソニーGとの関係が薄れることを懸念する声はあったが、関係は全く変わらずむしろ強まると思う。1つはソニーのブランド。上場後もソニーのブランドを継続使用できる契約を結んでいる。さらにソニーGは様々なエンタメのキャラクターや知的財産(IP)を保有している。そういったものを金融にも生かして新たなサービスを作れないかという協議をしていく」

「2点目はテクノロジー。ソニーGに数多く在籍するエンジニアの技術を金融で応用したい。ソニーGのテクノロジーと融合した形で新しい金融サービスを作ることができるのが我々の強みだと思っている」

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